1999年9月に採血した未越夏おとり牛2頭の血漿から分離されたウイルスは, 物理化学的性状および電子顕微鏡観察の結果, ブニヤウイルス科のウイルスであることが推測された.分離ウイルスはアカバネウイルス (AKV) およびアイノウイルス (AIV) に対する抗血清を用いた間接蛍光抗体法で交差反応を示し, さらに多くのシンブ群ウイルスと反応するAKVヌクレオカプシド蛋白を認識する単クローン抗体を用いたドットプロット法で反応を示したが, 交差中和試験およびRT-PCRからAKV, AIVなど既知の10種類のウイルスとは異なり, 国内で初めて分離されたシンブ群ウイルスと考えられた.分離ウイルスを用いたおとり牛の抗体検査の結果, 1999年9~11月に岡山県全体では調査戸数の50%および頭数の35.3%が, 県南部ではそれぞれ100%および83.3%が陽転した. しかし, 1995~1998年のおとり牛には分離ウイルスに対する抗体は認められなかった.