日本獣医師会雑誌
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牛から分離された新しいブニヤウイルス属シンブ群ウイルスの性状と浸潤状況
福冨 豊子吉田 和生津田 知幸奥田 宏健多田 幸四郎萱原 佳美
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2001 年 54 巻 5 号 p. 358-362

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抄録

1999年9月に採血した未越夏おとり牛2頭の血漿から分離されたウイルスは, 物理化学的性状および電子顕微鏡観察の結果, ブニヤウイルス科のウイルスであることが推測された.分離ウイルスはアカバネウイルス (AKV) およびアイノウイルス (AIV) に対する抗血清を用いた間接蛍光抗体法で交差反応を示し, さらに多くのシンブ群ウイルスと反応するAKVヌクレオカプシド蛋白を認識する単クローン抗体を用いたドットプロット法で反応を示したが, 交差中和試験およびRT-PCRからAKV, AIVなど既知の10種類のウイルスとは異なり, 国内で初めて分離されたシンブ群ウイルスと考えられた.分離ウイルスを用いたおとり牛の抗体検査の結果, 1999年9~11月に岡山県全体では調査戸数の50%および頭数の35.3%が, 県南部ではそれぞれ100%および83.3%が陽転した. しかし, 1995~1998年のおとり牛には分離ウイルスに対する抗体は認められなかった.

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