日本獣医師会雑誌
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卵胞嚢腫のホルスタイン種経産牛における過剰排卵処理成績
川俣 昌和
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2001 年 54 巻 9 号 p. 659-662

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抄録

卵胞嚢腫のホルスタイン種経産牛 (n=9) に新しい過剰排卵処理法を実施し, その効果について検討した.卵胞嚢腫と診断された日に, 嚢腫卵胞を含む直径10mm以上の卵胞を吸引し, ただちに膣内留置型黄体ホルモン製剤 (CIDR-B) を挿入した (0日目).卵胞吸引後, 4日目から合計37mgの卵胞刺激ホルモンを漸減投与し, 7日目にPGFアナログ500μgの投与と同時にCIDR/Bを除去した.8日目に人工授精を行い, 15日目に採卵し, 2.8個の移植可能胚が回収された.一方, 正常発情周期を示す牛 (n=7) に従来の過剰排卵処理法を実施したところ4.7個の移植可能胚が得られ, 両群問の移植可能胚数に有意差は認められなかった.以上の結果から, 本過剰排卵処理法による卵胞嚢腫牛からの採卵は可能であり, 正常牛への従来の処理法と比較して, ほとんど遜色がない成績の得られることが示唆された.

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