乳牛の各泌乳期における骨代謝の変化ならびに乳熱発生との関連性を観察する目的で, 乳熱発生率の低い2戸の農家 (儂家AおよびB) と発生率の高い2戸の農家 (農家CおよびD) で飼養されている乳牛83頭について, 乾乳期, 泌乳初期, 泌乳最盛期, 泌乳中期および泌乳後期における血1清酒石酸耐性酸ホスファターゼ (TRAP) 活性値を測定した.農家AおよびBでは血清TRAP活性値は乾乳期に比べ泌乳全期で高い傾向を示した.一方, 農家Dではすべての期間において血清TRAP活性値は他の農家に比べ低い値を示し, 特に乾乳期の骨吸収の低下が乳熱発生の一因であることが考えられた.また, 農家Cの血清TRAP活性値は乾乳期では農家AおよびBとほぼ同じ値を示し, 乳熱発生の原因は骨吸収量の低下ではなく, 特に年齢的な要因が考えられた.