2002 年 55 巻 9 号 p. 591-595
低蛋白食の猫の慢性腎不全進行抑制効果を検討した. 診断時の問質α-平滑筋アクチンの発現量より, 腎機能の低下が予測される初期慢性腎不全15例を用いた. 食餌を低蛋白食に切り替えることのできた猫は8頭で, 残り7頭は通常蛋白食のままであった. 診断時の各検査項目に両群問に統計学的に有意差はなかった. 1カ月ごとに体重と腎機能を評価し, 1年間経過観察した. 低蛋白食は通常蛋白食に比較し, 体重の低下と腎機能の低下を有意に抑制した. 以上より, 低蛋白食は猫の腎不全の進行を予防・抑制し, 臨床的な症状の発現を抑制すると考えられた.