日本獣医師会雑誌
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長期経過をたどった競走馬の鼠径ヘルニアの3症例
樋口 徹七尾 祐樹扇谷 学井上 哲仙波 裕之
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キーワード: , 鼠径ヘルニア, 開腹手術
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2003 年 56 巻 6 号 p. 382-384

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抄録

競走馬の鼠径ヘルニアの3症例に遭遇した.3症例とも数カ月以上にわたる鼠径ヘルニアの経過を持っていた.症例1は急性腹症としての手術ではなく, 開腹せずに左右の鼠径輪を縫合し, 入院管理することもなく術後経過も順調であった.この馬は, 先天性の鼠径ヘルニアにより, 5週齢で一側の精巣を摘出していた馬であったことが後日判明した.症例2と3は癌痛症状を示して来院した.症例2は空腸が30cm陰嚢内へ脱出しており, 開腹手術により整復し, 壊死部を切除して端々吻合した.ヘルニアを起こしていた側の精巣を摘出し鼠径輪を縫合したが, 競走復帰した後, 反対側も鼠径ヘルニアを発症した.症例3は, 結腸骨盤曲が陰嚢内へ脱出しており, 開腹して整復した.左右の精巣を摘出し, 鼠径輪を縫合した, 今回の3症例から, 緊急の手術を要しない競走馬の鼠径ヘルニアにおいても, 早期に外科的処置をとることが望ましいと思われた.

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