2007 年 60 巻 6 号 p. 439-443
水晶体原性ぶどう膜炎 (LIU) および吸収性白内障 (CR) の症状を示した13頭のアメリカン・コッカー・スパニエルを用いた.年齢は9ヵ月から5歳齢で, 体重は8.5kgから12.6kgであった.それらの内で白内障眼は23眼であった.LIU眼球の平均眼内圧は11.2mm Hgと低値を示し, 水晶体厚低下を示したものが9眼, その内3頭で視覚の回復がみられた.白内障乳化吸引術を実施した12眼での術後2週と6週でそれぞれ100%と83.3%で視覚回復を示した.水晶体前嚢組織の病理検査結果は, 表面の凹凸を示しながら水晶体上皮細胞が腫大して多層性に増殖し, 水晶体線維細胞が膨化し, 平滑筋アクチン陽性の筋線維芽細胞様となっていた.これらの結果からCRの進行中はLIU治療を行い1-2ヵ月間手術を延期し, LIUのみの場合は薬物治療後, 早期の手術実施がすすめられる.