日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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妊娠診断に於ける日本産蛙の使用に関する研究 : V.蛙排精誘起物質とマウス生殖腺刺激物質の相関関係についての2,3の実験並びに蛙下垂体腺葉の組織学的研究
佐藤 幸雄
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1959 年 21 巻 1 号 p. 39-46_1

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抄録
高木1),及び古賀2)は妊婦尿中の蛙υl′精誘起物質はICSHであると言う.蛙の排精はエビネフリン,ヒスタミン,牛糞抽出物3・4・5)に依っても起されICSHのみによる固有の特異反応ではない.-・方に於て畦下垂体の浮澹液又はアセトン粉末も排精を起す7).HOUSSAYは牛,犬,豚,モルモット及び猫の下垂体浮澹液は,ひきがえるの排精と起さないが,ラットと兎のそれは排精を・起すと言う6).著者の実験によれば以下報ずるように,2,3の家畜の下垂体から製作したアセトン粉末の食塩水溶液は蛙の排精と誘起した.他方に於て蛙の下乗体は鼠の生殖腺を刺激しなかった.このような咄乳類と蛙の下垂体物質の作用の相互関係についての2,3の実験結果と共に,蛙下垂体の排精誘起能の季節的消長に平行して著明な消長?示す細胞を観察したので報告する.1.豚,牛,馬の下乗体腺葉のアセトン粉末の食塩水溶液は蛙の排精を誘起した.それ等の閾値は同種蛙の下垂体を同様処理したものの200~3,000倍であった(tab1el,2).2.繁殖期5月に採集した蛙下乗体20~106ケは,マウスの生殖腺を刺激せず,87ケは,ラットのそれを刺激しなかった(table3).3, 13~20MU0)HCGを幼若マウスに6~9回に分割注射し第6口に殺した腎上体の組織標本に於ては,古マウス5例共にX;1-IFは消失し髄膜の形成せられていること′k観察した.然るに,5月の畦の下垂体45ケを同様分割注射した出マウスに於てはX帯は残存し髄膜は形成されなかった.2.と3.とより,蛙下垂体中の排精誘起物質と,HCGまたは家畜下垂体腺葉中のそれとの間には何等かの差異のあることが思考される(table4,5).4.蛙下乗体腺葉の組織標本に於て,trichrome染色で紫色を呆し,著明なフクシン好性顆粒を有する細胞(以下紫細胞と略)の消長が畦下垂体の排精誘起能の季1′ij的消長と一致する所から,この細1泡が蛙の排精を・起す内因的要素を含むものであると思考される(table6).紫細胞のフクシン好性穎粒は,R6na等10)による過マンガン酸カリと硫酸等量混液で酸化後はフクシン好性を失った.また酸化後,クロム・ヘマトキシリン好性を示すことは祝床下部の分泌顆粒と類似し興味あることである.
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