抄録
鳥類における骨髄腔内組織たる Medullary bone の消長に伴う形態学的変化を追及した. 検索に用いられた材料は, 雌鶏276例および雄鶏34例である. 鶏においては, 産卵事情が複雑であるので, Medul-lary bone の消長像もまた単純なものではない. 用いられた諸材料に関しては, 全身剖検所見および卵巣の解剖学的所見に, できる限りの注意を払った. これは Medullary bone の消長と諸因子との関係を検討する上に, 重要であることを知った. 大腿骨所見に関しては, Medullary bone 第一次新生像に開始され, 完熱像, 退縮像を経て, Medullary bone 第二次新生像に至るまでの諸組織像を分析抽出した. その間, 異常骨, Medullary bone の E 骨化および E 骨塊(著者仮称), その他, 特徴ある組織所見の記載を試みた. 著者は, Medullary bone に関する組織学的研究により, 一抹の不安をも感ずることなく, Medullary bone が鳥類産卵に関連を有する特異組織であることを, 確信することができた.