日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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28 巻, 4 号
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  • 井上 睦
    1966 年 28 巻 4 号 p. 161-181_15
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鳥類における骨髄腔内組織たる Medullary bone の消長に伴う形態学的変化を追及した. 検索に用いられた材料は, 雌鶏276例および雄鶏34例である. 鶏においては, 産卵事情が複雑であるので, Medul-lary bone の消長像もまた単純なものではない. 用いられた諸材料に関しては, 全身剖検所見および卵巣の解剖学的所見に, できる限りの注意を払った. これは Medullary bone の消長と諸因子との関係を検討する上に, 重要であることを知った. 大腿骨所見に関しては, Medullary bone 第一次新生像に開始され, 完熱像, 退縮像を経て, Medullary bone 第二次新生像に至るまでの諸組織像を分析抽出した. その間, 異常骨, Medullary bone の E 骨化および E 骨塊(著者仮称), その他, 特徴ある組織所見の記載を試みた. 著者は, Medullary bone に関する組織学的研究により, 一抹の不安をも感ずることなく, Medullary bone が鳥類産卵に関連を有する特異組織であることを, 確信することができた.
  • 五藤 精知, 藤原 弘, 森田 迪夫
    1966 年 28 巻 4 号 p. 183-190_1
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1959年7月, 多数羽飼育していた鳥取県内の養鶏場で, 高い斃死率を示したロイコチトゾーン病の34例を, 病理組織学的に検索した. 病鶏はニューハンプシャー種, 20~27日令で, 緑色下痢, 元気沈衰, 転倒および痙攣を主症状とし, 短時日のうちに斃死した. 肉眼的には, 皮下組織, 筋肉および諸臓器に点状ないし不整形の出血, 諸臓器の粟粒大の灰白色斑点の散在, および脾の腫脹が特徴的変化として認められた. 組織学的には, 大小区々の出血巣, 時期を異にする Megaloschizont に対する組織球, 異物巨細胞, リンパ球,線維芽球などの細胞反応, 肝および脾の細網内皮系の活性化, ならびにヘモジデリン沈着, 肝の巣状壊死, 肝, 心, 腎, および筋肉の円形細胞の集積, 放出された Merozoite の血管栓塞, 脾の莢動脈の硝子化などが認められた. 多数の Megaloschizont が全身に認められ, 多くは被膜または血管内皮に被包された微細な顆粒状の Merozoite を満たしていたが, 脳実質には被膜に被包されない Megaloschizont が認められた. またアヒルや七面鳥には認められている Hepatic schizont, および細網内皮系細胞に, いわゆる Early schizont を認めた. これは生活史の上では, 時期を同じくし, Megaloschizont よりも初期の段階のものと考えられた.
  • 野村 晋一
    1966 年 28 巻 4 号 p. 191-203
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    著者が試作した心電図用ラジオ・テレメーターの構成の概要を説明し, 実地の応用例をかかげて, その性能を証明した. 1. 送信器は電地式, オール・トランジスタ, 携帯用である. 送信は周波数変換方式, 22.5Mc/sの主搬送波を使用している. 到達距離は約100mである. 受信器はスーパー・ヘテロダイン方式, 記録は市販心電計とインク書きオッシログラフで同時におこなう. 2. 電極はゴム・キャップ内に装着した銀板で, 皮膚に生ゴム・セメダインで固定し, 発汗による脱落をさけるように工夫してある. 3. この装置を用いて, 人, 馬などの運動(足ぶみ, かけ足, ハードル飛越における人, 馬場運動における騎手と馬, 競走駈歩における馬)中の心電図を記録した. 極めて激しい運動のほか, この装置は実用に供しうるという結果をえた.
  • 田場 典治
    1966 年 28 巻 4 号 p. 205-209
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1. 犬に, 後肢のみによる2肢駐立を強要して筋を疲労せしめ, 腓腹筋から単一NMUの放電を経時的に記録して, 放電間隔時系列を求めた. この時系列から, 方式に従って, H型変動とR型変動を分離して取り出し, H型変動の周期(H)と, R型変動の周期(T)および減衰比(Q)とを算出し, τ-H相関図とQ-T相関図を描いて, 考察を加えた. 2. 筋疲労の進行にともなって, H型変動の周期の延長, すなわち, C曲線の傾斜の増加が起こった. これを, 筋の活動に参加する上位神経機構の活動要素の増加と解釈した. 3. R型変動では, 駐立直後, 周期が一時的に減少するけれども, その後は次第に延長した. 前者を強制伸展による求心性インパルスの増加, 後者を筋疲労による求心性インパルスの減少と解釈した. 4. 上述の結果から筋疲労時には, まず求心性インパルスの減少により, 脊髄準位の神経機構の自己調節機能が減弱し, その補償として, 筋の活動に対する上位神経機構の参加が増強してくると考えた.
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