日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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鶏の視床下部破壊の体温におよぼす効果
兼松 重任城井 道生園田 立信加藤 嘉太郎
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1967 年 29 巻 2 号 p. 95-104_1

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抄録
鶏の視床下部に両側性の電解的破壊を行ない,鶏の体温の中枢神経調節とその部位について検討した.鶏は,体温維持の能力を試験するため,守冷あるいは高温環境下においた.結果を要約すれば,次の通りである.I)視床下部の破壊によって,鶏は連続高体温,あるいは著しい-・時的高体温を起こした.その破壊の部位は,視交叉上で前文連の前腹部にみられた.通電しなかった対照鶏の最高直腸温42.2±0.1°Cに比べ,視床下部破壊によって著しい高体温を起こした鶏の9羽の最高直腸温は,45.1°Cから46.0°Cを示した.2)視交叉上で前交連の後腹部を破壊された鶏は,破壊が前交連を含む場合,あるいは含まない場合にも,寒冷に対して体温を維持する能力を失い,持続的低体温を示し,あるυ・は環境温度の変化に伴って体温を変化した.3)鶏の体温はベントバルビタール麻酔によって,最低34.0゜Cまで降下した.4)前視床下部あるいは正中隆起の上部を破壊した鶏で,高温環境下で起こる呼吸数の増加が,起こらないものが観察された.
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