抄録
本研究は,2010年に伊豆諸島八丈島の三原山で起こったスダジイの集団枯損現象を対象に,その枯損木の分布と地形との関係を明らかにすることによって,カシノナガキクイムシによる被害の防除を行う重要な資料を提供することを目的とする.林道・登山道と方形区における植生調査の結果,スダジイの集団枯損は三原山の南西斜面の標高200~400mに集中していた.また枯損分布と土地情報を用いてGLMで解析を行ったところ,積算日射量が多い程被害を受けやすいことがわかった.被害が確認された2010年7月には20日間降水がなく,8月の降水量も平年値の6割程度で乾燥していた.したがって,八丈島において生じたスダジイの集団枯損は例年に比べ乾燥した2010年夏季の気候条件が起因となっており,その結果として積算日射量を多く受け,より乾燥した条件となりやすい南西向き斜面の尾根上に枯損木の分布が集中したと考えられる.