日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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猫の鉤虫症に関する実験的研究 : VII. マウス,鶏に対する Ancylostome tubaetorme と Ancylostoma caninum の感染試験および体内移行について
大越 伸村田 義彦
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1968 年 30 巻 2 号 p. 97-107_1

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抄録
A..tubaeformeとA.caninum両種鉤虫の.感染仔虫を,非固有宿主であるマウスと鶏に人工感染させた後,宿主体内における仔虫の移行態度と発育状況を究明した2その結果,次のような所見を得た.I.両種鉤虫の感染仔虫をマウスに経口感染させた場合には,両種とも,多数の仔虫がマウス体内の各臓器に移行した.仔虫が長期間停留していた臓器の名称は,A.tubaeformeでは肺,脳,消化管であり,A.ca一ninumでは筋肉,脳であった.2.両種鉤虫の感染仔虫を鶏に経口感染させた場合は,両種とも,鶏体内の臓器に移行する仔虫数は少なく,A.tubaeformeの場合には,短期間にすべての仔虫が消失した.しかしA.caninumでは,若干の仔虫が筋肉内に生存することを認めた.3.両種鉤虫の感染仔虫をマウスに経皮感染させた場合は,A.tubaeformeでは,仔虫が筋肉からほとんど消失し,大部分の仔虫が肺または消化管に移行していた. これに反して,A.caninulnの場合では,ほとんどすべての仔虫が筋肉内に長期間停留したままであった.4.経口的に人工感染させた鶏の筋肉内から採取したA.caninufnの第3期仔虫を,マウスに二次感染させた.その結果,マウスに感染仔虫を一次感染させた場合と同じ感染所見を得た.5.両種鉤虫を非固有宿主のマウス,鶏に感染させた後,宿主体内の各臓器から検出した仔虫は,ほとんど発育していなかった.ただ,A,tubaefor7neの場合,マウスの消化管から検出された仔虫では,尾部の部分のみが若干進化していた.
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