日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
実験的トキソプラズマ症に対する SDDS の治療効果について
清水 亀平次白幡 敏一稲見 芳治
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 30 巻 4 号 p. 183-195

詳細
抄録
SDDS(2-sulfamoyl-4,4I-diaminodiphenylsu1一foneの投与により,RH株感染マウスの死期は著しく延長される.,また,これよりやや弱毒と思われるmodificdS-273およびmodificdBeverlcy株感染マウスに投与した場合には,90%以上が生残し,従来最も有効と考えられていたsuIfamo一nomethoxineに劣らぬ抗トキソプラズマ効果を示した.これらの実験成績をもとに,豚の本症に対する治療効果を検討した.自然感染豚より分離されたHG株を用い,感染(1×1071p)と同時に投薬を開始した場合(体重1kg当たり1日1回30mg,7日間筋肉内注射)は,発熱その他臨床症状ならびにparasitemiaの発現を完全に抑圧した.また発病の翌日から投薬を開始した場合にも,症状を軽快にし,かつ体内からの原虫を一掃することを知った.modinedBeverley株についても試験した.この場合,無処置対照群の1例と,治療群の全例が,62日後の検索において,原虫陰性の成績を示したため,本剤による治療効果を確実に判定することができなかった.投与回数や投薬量など,今後検討を要する事項が多く残されている.しかし本剤がトキソプラズマ症の予防治療剤として,きわめて有望なものであることは明らかである.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
次の記事
feedback
Top