論文ID: 2022-1238
Computed tomography(CT)装置において,CT値を決定する線減弱係数はX線エネルギーに依存して変化するため,エネルギーは直接的に画質に関係する.また,対象物の組成やサイズによって適切なエネルギーを利用することで,被ばく線量を抑えて優れた画質が得られることが指摘されている.しかし,エネルギーを変化させる代表的な因子である管電圧は,長らく120 kVpに固定されてきた.近年になって,低管電圧撮影やdual energy CTの普及により,異なるエネルギーで取得された画像を扱う状況が増加している.適切なエネルギーで撮影を行うためには,X線の減弱とCT画像形成過程に対するエネルギーの関与を理解する必要がある.そこで本稿では,はじめにX線の減弱に関する物理特性とエネルギーとの関係を整理した.次にエネルギーを変えて撮影されることが想定される状況としてヨード造影剤を使用した場合と三つの部位(頭部,胸部,四肢筋・腱)を取り上げ,エネルギーとCT画像の関係について考察した.