日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
VI.治療法の進歩
3.肝動脈化学塞栓療法
山門 亨一郎
著者情報
キーワード: 肝癌, 動脈塞栓術, 予後, 合併症
ジャーナル フリー

2014 年 103 巻 1 号 p. 87-92

詳細
抄録

1980年代に本邦で開発された肝癌に対する肝動脈塞栓術は,抗癌剤とリピオドールの懸濁液を加える肝動脈化学塞栓療法(Transarterial chemoembolization:以下TACE)へと進化した.2002年にはTACEを行うことで肝癌患者の予後を延長させることができるというエビデンスが示された.適応はいわゆる中程度進行肝癌で,約30%の肝癌患者がTACEを中心に治療がなされている.IVR学会修練施設でTACEが初回治療であった815人の1年,3年,5年,7年生存率は92.0%,62.9%,39.0%,26.7%であった.本邦ではゼラチンスポンジが塞栓物質の中心であるが,欧米では球状塞栓物質(ビーズ)が開発され,分子標的薬の登場も相まってTACEを巡る動きが活発化している.しかし,ビーズ塞栓が従来のTACEに優るというエビデンスは示されていない.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top