1979 年 41 巻 4 号 p. 369-376
牛胎仔および新生仔の食道, 気管, 血管に合成樹脂を注入して鋳型標本をつくり, 別にホルマリンで固めた標本と比較しながら, 食道の胸腔内における走行を, とくにその狭窄, 弯曲および膨大との関連について立体的にしらべた. 食道は胸腔内を経過する間に, 三ケ所に狭窄と弯曲が, またーケ所に膨大がみとめられた. 狭窄は胸腺と左肺前葉前端とに扶まれた部位, 大動脈に接する部位, および横隔膜食道裂孔直前の部位にみられた. 弯曲は胸郭前口から第2胸椎付近にかけ腹方への曲りと, 大動脈弓との接触部から始まる腹後方への曲り, および後縦隔膜を通過し, 食道裂孔に向かう間に生ずる緩い側弯である. 膨大は後縦隔膜に含まれる部分にーケ所認められた.