Moraxella bovisの溶血活性を検討した. M. bovisの液体培養液の0.45μm Millipore filter濾過液や, 8,000 rpm, 15分間遠心上清には溶血活性がみいだせないために, 全培養液についてその活性を調べた. 菌の増殖と溶血活性の関係を振盪培養により調べると, 対数増殖期の初期に活性のピークが現われ, 以後, 少なくとも120時間までは活性が維持されていた. 本菌のヘモリシンは, 各種動物の赤血球に対しては, ニワトリを除き, ほとんど同程度に活性を示した. この活性はCaイオンの添加により増強されたが, 加熱処理, ホルマリン処理, および, トリプシン処理により完全に失活した. また, 還元剤の添加による活性化は確認されなかった. いっぽう, M. bovisに自然感染した子牛から得た8例の血清について, その溶血阻止抗体を調べたところ, 7例に有意な抗体の上昇が確認された.