日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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41 巻, 4 号
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  • 望月 雅美, 小西 信一郎
    1979 年 41 巻 4 号 p. 351-359,362
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    細胞培養に供した, 一見正常な仔ネコの腎および肝より2株のウイルスを分離した. これは本邦における, サル以外の動物からfoamy agentを検出した最初の分離報告である. 本ウイルスは細胞結合性が強く, 空胞変性, 多核巨細胞およびプラック形成を伴いながら増殖し, それには宿主細胞の分裂増殖期を使用するのが最適であった. 本ウイルスは核酸がRNA型で, エーテル・酸(pH 3.0)・熱(50℃, 30分)に感受性であり, 濾過試験・電顕観察の結果, 最小感染粒子径は100~130 nmであった. また, その密度はショ糖中で1.19g/mlを示した. 本ウイルスの2株は, その生物学的および物理化学的性状, さらにfeline syncytial virus (FSV) Coleman株との中和および寒天ゲル内沈降試験による交差血清試験の結果から, FSVと同定されたものである. 1968年より10年間の, 東京におけるネコの本ウイルス抗体保有率は平均3.8%と低かったが, 今後, ネコを用いる実験, ことにネコの細胞培養を使用する際には, 本ウイルスの混入の恐れもあることから, 十分注意を払うべきである.
  • 中沢 宗生, 根本 久
    1979 年 41 巻 4 号 p. 363-367
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Moraxella bovisの溶血活性を検討した. M. bovisの液体培養液の0.45μm Millipore filter濾過液や, 8,000 rpm, 15分間遠心上清には溶血活性がみいだせないために, 全培養液についてその活性を調べた. 菌の増殖と溶血活性の関係を振盪培養により調べると, 対数増殖期の初期に活性のピークが現われ, 以後, 少なくとも120時間までは活性が維持されていた. 本菌のヘモリシンは, 各種動物の赤血球に対しては, ニワトリを除き, ほとんど同程度に活性を示した. この活性はCaイオンの添加により増強されたが, 加熱処理, ホルマリン処理, および, トリプシン処理により完全に失活した. また, 還元剤の添加による活性化は確認されなかった. いっぽう, M. bovisに自然感染した子牛から得た8例の血清について, その溶血阻止抗体を調べたところ, 7例に有意な抗体の上昇が確認された.
  • 深谷 幸作, 猪股 智夫, 浅利 昌男, 江口 保暢, 鹿野 胖
    1979 年 41 巻 4 号 p. 369-376
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛胎仔および新生仔の食道, 気管, 血管に合成樹脂を注入して鋳型標本をつくり, 別にホルマリンで固めた標本と比較しながら, 食道の胸腔内における走行を, とくにその狭窄, 弯曲および膨大との関連について立体的にしらべた. 食道は胸腔内を経過する間に, 三ケ所に狭窄と弯曲が, またーケ所に膨大がみとめられた. 狭窄は胸腺と左肺前葉前端とに扶まれた部位, 大動脈に接する部位, および横隔膜食道裂孔直前の部位にみられた. 弯曲は胸郭前口から第2胸椎付近にかけ腹方への曲りと, 大動脈弓との接触部から始まる腹後方への曲り, および後縦隔膜を通過し, 食道裂孔に向かう間に生ずる緩い側弯である. 膨大は後縦隔膜に含まれる部分にーケ所認められた.
  • 田村 正明, 杉浦 邦紀
    1979 年 41 巻 4 号 p. 377-383
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    乳牛におけるD3代謝を明らかにするため, 臨床的に健康な, D3無投与の新生牛, 若令牛, 成牛ならびにD3投与量の異なる成牛, 合計26例についてD3代謝産物の血清濃度を測定し, 検討してみた. D3代謝産物のうち25-OH-D3ならびに24(R), 25-(OH)2-D3はcompetitive protein binding assayを用いて測定し, 1α, 25-(OH)2-D3はradioreceptor assayにより測定した. 1. D3無投与の牛群間における血清D3代謝産物について, 1α, 25-(OH)2-D3ならびに24(R), 25-(OH)2-D3濃度は新生牛が若令牛, 成牛に比べて高い値を示したが, 25-OH-D3濃度には大きな差異は観察されなかった. 2. D3 1万単位を連日飼料添加した群では, 25-OH-D3ならびに24(R), 25-(OH)2-D3濃度はD3無投与の成牛群に比べて高い値を示したが, 1α, 25-(OH)2-D3濃度は両群間に差異がみられなかった 3. D3 15万単位を1回投与した群においては, 25-OH-D3ならびに24(R), 25-(OH)2-D3濃度はD3無投与の成牛群に比べて軽度の上昇を示し, 1α, 25-(OH)2-D3濃度はD3無投与の成牛群ならびにD3 1万単位連日飼料添加群に比べて高い値を示した. 4. D3代謝産物の血清濃度の相互関係については, 24(R), 25-(OH)2-D3濃度は新生牛を除いて各群とも25-OH-D3濃度の7~9%であり, 25-OH-D3濃度との間に正の相関関係がみられたが, 1α, 25-(OH)2-D3濃度と25-OH-D3あるいは24(R), (25-OH)2-D3濃度との間には相関関係はみられなかった. 以上の結果から, 血清25-OH-D3ならびに24(R), 25-(OH)2-D3濃度はD3の摂取量にある程度比例して変動するが, 血清1α, 25-(OH)2-D3濃度は比較的一定に保持され, 高単位D31回投与の場合にはその代謝調節が一時的に乱れるものと推察される.
  • 藤崎 幸蔵, 三浦 克洋, 高松 治久, 北岡 茂男, 森井 勤, 鈴木 恭
    1979 年 41 巻 4 号 p. 385-390
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    実験的にL. caulleryiを感染させた鶏の経過血漿について, 自己の赤血球を凝集する寒冷凝集素の有無を調べ, その免疫学的性質を検討した. その結果, 感染鶏全例に寒冷凝集素が認められ, その出現様相は1峰性と2峰性の2種に区別できた. これらの凝集素は, 直接抗グロブリン試験の結果, パラシテミア, ゲル内沈降反応による抗原の検出成績などから, 原虫由来の物質とは考えられず, 一種の病的寒冷凝集素(自己抗体)とみなされた. 今後, L. caulleryi感染鶏における貧血と寒冷凝集素との関連についてさらに検討する必要があろう.
  • 山田 進二, 松尾 和夫, 福田 輝俊
    1979 年 41 巻 4 号 p. 391-393
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    トリアデノウイルスOte株を7および190日齢アヒルに経鼻接種したところ, アヒルは臨床的に症状を発現せず, 剖検でも異常を認めなかった. ウイルスは7日齢の5日目気管と腸内容から回収できた. ウイルス接種後2週目から中和抗体が上昇し, またゲル内沈降抗体も2週目に陽転した. ウイルスは発育卵(13日齢)で増殖した. 以上の成績からアヒルは, 鶏より劣るが, アデノウイルスに対して感受性を有しているものと考える.
  • 新山 雅美, 大林 正士
    1979 年 41 巻 4 号 p. 395-397,399
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1978年11月, 札幌市内で市販された80日令のペルシヤネコからCheyletiella属のダニが分離され, 虫体の顎体部の強大な鈎, 脚端の櫛状爪間体, M字状周気管, 半円状背板, 第I膝節の卵円形の感覚器管などの諸特微から, Cheyletiella blakei Smileyと同定された. ネコの背部には粃糠様フケの蓄積がみられたが掻痒動作をほとんど示さず, むしろ, 飼主の腕や胸などに小丘疹の発生と痒覚を認めた.
  • 入谷 好一, 宮嶋 正康
    1979 年 41 巻 4 号 p. 401-403
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリ赤血球のHG-HAに対する被凝集性は個体間で有意差を示し, HC-HAに対し陽性鶏と陰性鶏とに分けられた. また陽性鶏と陰性鶏との出現率は鶏群間でも異なった. この様な感受性差は遣伝的であり, 陽性を示す遺伝子の方が優性であると思われた. HC-HAに対し陽性鶏と陰性鶏の両赤血球はミクソウイルス, マイコプラズマおよび数種のレクチンでは感受性差がなく, HG-HAのリセプターがこれらHAと異なると考えられた.
  • 清水 晃, 加藤 英一
    1979 年 41 巻 4 号 p. 405-408
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌ由来ブドウ球菌62株[Hajek and Marsalek (1971)の生物型A, 2株, B, 2株, E, 58株]について, ヒト系セット, Blouse and Meekinsのイヌ系セットおよび著者の分離ファージを用い, 型別を試みた. 供試菌62株中45株(72.6%)が型別された. イヌ系ファージはE型菌(42/58)を, ヒト系ファージはAおよびB型菌をそれぞれ特異的に溶菌し, 生物型とファージ型との間には関連性が認められた. イヌ系ファージのうち, 米国で分離されたファージは, 本邦の分離株の型別に応用できることを示した.
  • 清水 晃, 加藤 英一
    1979 年 41 巻 4 号 p. 409-412
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウマ由来ブドウ球菌68株(Hajek and Marsalek, 1971の生物型A, 2株; B, 8株; C, 27株; E, 31株)のファージ型別を行なった. 型別には, ヒト系セット, Blouse and Meekinsのイヌ系フアージおよび著者の分離したイヌ系ファージを用いた. 供試菌68株中46株(67.6%)が型別された. ヒト系ファージの作用域はA, BおよびC型菌であった. E型に属する菌株は, ヒト系ファージに溶菌されるものはなく, イヌ系ファージでのみ型別可能(22/31)であった. ウマ由来株の型別に際し, 上記両セットを併用することの意義を本研究で論じた.
  • 福田 俊, 松岡 理
    1979 年 41 巻 4 号 p. 413-415
    発行日: 1979/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬の尿結石症は約1%にみられ, このうち膀胱結石症が最も多いといわれる. しかし一般に実験用ビーグルの膀胱結石症は極めて少ない. 本論文は同一飼育環境下のビーグルの成犬120頭中3.5才になる雌1頭が膀胱結石症を3回くり返した例についての報告である. 尿検査の結果, アルカリ尿(pH 8)で, 結石の主成分はリン酸アンモニウム・マグネシウムであった. 手術により結石を摘出し, 繁殖生産における障害を除いている.
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