乳牛におけるD
3代謝を明らかにするため, 臨床的に健康な, D
3無投与の新生牛, 若令牛, 成牛ならびにD
3投与量の異なる成牛, 合計26例についてD
3代謝産物の血清濃度を測定し, 検討してみた. D
3代謝産物のうち25-OH-D
3ならびに24(R), 25-(OH)
2-D
3はcompetitive protein binding assayを用いて測定し, 1α, 25-(OH)
2-D
3はradioreceptor assayにより測定した. 1. D
3無投与の牛群間における血清D
3代謝産物について, 1α, 25-(OH)
2-D
3ならびに24(R), 25-(OH)
2-D
3濃度は新生牛が若令牛, 成牛に比べて高い値を示したが, 25-OH-D
3濃度には大きな差異は観察されなかった. 2. D
3 1万単位を連日飼料添加した群では, 25-OH-D
3ならびに24(R), 25-(OH)
2-D
3濃度はD
3無投与の成牛群に比べて高い値を示したが, 1α, 25-(OH)
2-D
3濃度は両群間に差異がみられなかった 3. D
3 15万単位を1回投与した群においては, 25-OH-D
3ならびに24(R), 25-(OH)
2-D
3濃度はD
3無投与の成牛群に比べて軽度の上昇を示し, 1α, 25-(OH)
2-D
3濃度はD
3無投与の成牛群ならびにD
3 1万単位連日飼料添加群に比べて高い値を示した. 4. D
3代謝産物の血清濃度の相互関係については, 24(R), 25-(OH)
2-D
3濃度は新生牛を除いて各群とも25-OH-D
3濃度の7~9%であり, 25-OH-D
3濃度との間に正の相関関係がみられたが, 1α, 25-(OH)
2-D
3濃度と25-OH-D
3あるいは24(R), (25-OH)
2-D
3濃度との間には相関関係はみられなかった. 以上の結果から, 血清25-OH-D
3ならびに24(R), 25-(OH)
2-D
3濃度はD
3の摂取量にある程度比例して変動するが, 血清1α, 25-(OH)
2-D
3濃度は比較的一定に保持され, 高単位D
31回投与の場合にはその代謝調節が一時的に乱れるものと推察される.
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