抄録
本研究は同種皮膚移植免疫によって得られた抗DLA抗体と妊娠中のイヌ血清から得られた抗DLA抗体についてその特異性を血清学的に検討したものである. 用いた9種の抗体は同腹ビーグル17頭の同種交換皮膚移植免疫により得られた8種と妊娠中のイヌ血清の1種である. 各抗体の検出はリンパ球細胞障害性試験により行った. また, それぞれ相補性を有するリンパ球に対する抗体価は4~512倍であった. これらの抗DLAについて40例のリンパ球に対するセログラムを観察し, それにもとずいてX2値を算出して特異性を検討した. 抗DLA-J1-J2, -J1-J8, -J2-J8のX2値はそれぞれ6.2, 4.0, 7.3, 抗DLA-J3-J6では4.8であり, 抗DLA-J1はDLA-J2, -J8と抗DLA-J3は抗DLA-J6とほぼ同一の系に属する抗体と推定された. 従って, 作製した9種の抗体はその特異性からDLA-J1-J2-J8, -J3-J6, -J4, -J5, -J7および-J9の6種に分類された.