日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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42 巻, 1 号
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  • 本間 利夫, 小沼 操, 見上 彪, 伊沢 久夫
    1980 年 42 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ白血病ウイルス(BLV)の新しい検出方法であるsyncytium法を検討する目的で, BLVに感染しているウシまたはヒツジのリンパ球を用いて本法を試みた. その結果, 流行型ウシ白血病を示すウシ, またはBLVを接種したヒツジを供試する時にのみ, indicator細胞にsyncytiumの形成を認めた. また, 成牛型リンパ肉腫を呈するウシでは, 接種リンパ球数とindicator細胞に形成されたsyncytiumの数との間に比例関係(dose response)がみられた. 一方, 成牛型リンパ肉腫を示すウシまたはBLVを接種したヒツジから得た血清で処理すると, syncytium形成は阻止されたが, 散発型ウシ白血病を呈するウシの血清では阻止されなかった. 以上の成績は, syncytium法がBLV感染に特異的であることを示すものと思われる.
  • 本間 利夫, 小沼 操, 見上 彪, 伊沢 久夫
    1980 年 42 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    北海道および青森県十和田地方のウシを対象に, ウシ白血病ウイルス(BLV)に対する抗体の保有状況を調査した。その結果, 北海道(1977年調査)では8.8%が, また十和田地方(1978年調査)では44.2%がBLV抗体陽性であった. 今回得られた抗体陽性率は前回の抗体調査で得られたそれに比べて高く, わが国においてもBLVによる汚染は徐々に進行していることがうかがえた. また, ウシにおけるBLV抗体保有とBLV保有との関係を明らかにするために, syncytium法を応用して, BLV抗体陽性牛と陰性牛のリンパ球からBLVの検出を試みた. その結果, BLV抗体陽性牛ではindicator細胞としてウシ胎児胸腺細胞を用いるときには71.4%が, またウシ胎児脾臓細胞を用いるときには全例が, syncytium法陽性と判定された. この成績は, BLVに対する抗体を保有するウシのほぼ全例が, リンパ球にBLVを保有することを示唆するものと思われる.
  • 永友 寛司, 小谷 均, 尾形 学, 清水 高正
    1980 年 42 巻 1 号 p. 9-15,17
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシの肺炎病巣および生殖器由来Ureaplasma菌株のうち, 代謝阻止試験(MIテスト)で群別された代表株についてゲル内沈降反応を行い抗原性を比較した. 本反応における培地成分の影響は, 抗血清を培地成分により吸収することにより完全に除去された. ウシ由来Ureaplasma各株間の沈降線は, MIテストによる血清群とは無関係に融合連続した. さらに, これら共通の沈降線は, ヒト, ネコ, ヤギ, イヌおよびトリ由来のUreaplasma株間の沈降線とも連続し, Ureaplasma菌属の各株間には共通抗原があることが示された. また, ウシ由来Ureaplasmaは参照株として用いた12種のMycoplasmaおよび2種のAcholeplasmaとは全く交差反応が認められなかった.
  • 橋本 善春, 杉村 誠
    1980 年 42 巻 1 号 p. 19-25,29
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    アヒルにおける抗horseradish peroxidase抗体産生細胞の分布と形態とを, 光学顕微鏡的および電子顕微鏡的免疫細胞学によって検討した. 典型的な抗体産生細胞は脾臓赤髄ないし胚中心における形質細胞または大型リンパ球であった. 胚中心域には2型の陽性細胞が区別され, そのうちで多数をしめるものは樹枝状細胞で, 他は抗体産生細胞であったが, これらの抗体産生細胞は胚中心域以外に出現したものよりも遅く出現した. 脾臓白髄における他のリンパ球, すなわち動脈周囲リンパ球, 静脈周囲リンパ球および莢中心毛細管周囲リンパ球は抗体産生像を示さなかった. これらの結果は, アヒルの抗体産生細胞の一部は胚中心内に生じることから, 脾臓およびリンパ節における胚中心は抗体産生機構の中で重要な機能をはたしていることを示していると考えられる.
  • 小谷 均, 永友 寛司, 尾形 学
    1980 年 42 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    外見上健康なヤギ62頭(3飼育場)およびヒツジ11頭(1飼育場)の口腔, 鼻腔, 眼, 直腸, 包皮, 膣からのUreaplasmaの分離をおこなった. Ureaplasmaは, ヤギの包皮(6/16, 37.5%), 膣(18/46, 39.1%)から, ヒツジの包皮(1/5, 20%), 膣(2/6, 33.3%)から分離されたが, その他の検索部位からは分離されなかった. 発育阻止試験ならびに代謝阻止試験により, 分離株の性状を血清学的に比較したところ, ヤギ由来23株は単一の血清群を形成し, ヒツジ由来21株は20株を含む1群と, それとは抗原的に異なる1株に分かれた. さらに, ヤギおよびヒツジ由来の両血清群は共通抗原を持つことが判明した. ヒツジ由来の特異な1株は, ヤギ由来株とも血清学的に異なっていた. 一方, ヤギおよびヒツジ由来Ureaplasmaは, ヒト, ウシ, イヌ, サルならびにトリ由来Ureaplasmaと血清学的関係が認められなかった. ヤギとヒツジ由来株が抗原的類似性を示したことは, ヤギおよびヒツジにおいて, Ureaplasmaの宿主特異性は例外であることを示唆している.
  • 清水 高正, 八木橋 武
    1980 年 42 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    宮崎県下2か所の飼育場における七面鳥計50羽の気嚢炎・気管・眼窩・口腔・総排泄孔から, 総計86株のマイコプラズマが分離された. これらは血清学的に, M. meleagridis46株, M. gallinarum4株, D群5株, I群15株に同定され, 16株は同定不能であった. さらに東京都下の一飼育場の3羽中2羽の七面鳥の口腔から分離されたマイコプラズマ4株中1株はM. meleagridis, 3株はI群と同定された. M. meleagridisはフオスファターゼ産生能とアルギニン分解能が陽性で, これらの性状は他の鳥類由来マイコプラズマとの識別上重要である. ひなの流通経路から, M. meleagridisは本邦において広範囲に飼育場を汚染していることが推定される.
  • 江口 保暢, 花田 哲, 森川 嘉夫
    1980 年 42 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    胎生20日目の雄ラット胎仔を子宮内で去勢し, 2日後のその下垂体前葉細胞に起こる変化を対照胎仔と比較検討した. また, 同様に新生1日に去勢し, 2日後に剖検し, 下垂体における変化を胎生期のそれと比較した. 細胞内顆粒の直径を測定することによって, 三つの型の顆粒細胞を区別し得た. そのほかに顆粒の非常に小さい, 型を同定しにくい細胞があった. 顆粒直径の分布の型から分類しえた三つの細胞型のうち, 第1型は直径の範囲が狭く(40-180nm), その分泌顆粒は主として細胞辺縁に存在した. RERは偏平で不規則な配列を示していた. 第2型は, 第1型よりいくらか大きい顆粒(40-200nm)をもち, その顆粒は辺縁にも細胞体全域にも分布していた. RERは胞状あるいは短板状, あるいは板状の層として重なっていた. 第3型は, 最大の顆粒直径幅(90-360nm)をもっていた. 去勢後, 第1型も第3型もともに大きな変化を示さなかった. 一方, 第2型は著しい変化を示し, RERとゴルジ装置の著しい拡張を示した. これらの変化は新生仔におけるより胎仔における方が著しく, かつtestosterone propionate の投与によって阻止された. 以上の所見は, 観察した第2型の細胞に生殖腺刺激細胞が含まれるという見解, ならびに下垂体の生殖腺刺激能は雄ラットにおいて生後衰えるという見解を支持する.
  • 九郎丸 正道, 西田 隆雄, 望月 公子
    1980 年 42 巻 1 号 p. 61-67,71
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    食虫目トガリネズミ科に属するリュウキュウジャコウネズミの腸管の形態学的特徴を体重のほぼ等しい齧歯類のマウス・ハムスターのそれらと光学顕微鏡, 走査型および透過型電子顕微鏡を用いて比較検討した. ジャコウネズミの腸管の特微として, まずその長さが非常に短かくまた盲腸の欠如している事があげられる. このため小腸と大腸の境界は不明瞭である. 絨毛は小腸ばかりでなく, 大腸に相当する部位にも存在する. これらの絨毛は齧歯類とは異なり, 表面の小皺襞は未発達で, 杯細胞の粘液放出像が多数観察される. 腸腺にパネート細胞は存在しないが, 2種類の基底顆粒細胞はしばしば観察され, 特に直腸部において多数認められる. 吸収上皮細胞の構造は他の哺乳類とほとんど同じでまた腸管各部の上皮細胞の構造にも変化は認められない. これら吸収上皮細胞間には, しばしば明調のリンパ球が散在し, 固有層には暗調の顆粒をもった特微的な細胞がリンパ球や形質細胞に混在して認められた。
  • 桑原 正人, 小林 雅樹, 佐藤 敬
    1980 年 42 巻 1 号 p. 73-81
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 正常歩行を行う犬の大腿骨骨端シルエットおよび膝蓋骨脱臼犬の骨端シルエットに対し, 主因子法によって12変量×88個のデータを解析し, 以下の所見を得た. 1. 犬の雌雄の大腿骨骨端シルエットに発育上の差が認められ, 雄犬は雌大よりも起伏の大きい骨端シルエットを持ち, 50日令内外の子犬は脱臼犬と同様な形態であり, 90日令内外になると成犬のそれに達した. したがって, 大腿骨骨端シルエットの形態は, 犬の膝蓋骨脱臼の原因追究の手掛りとなった. 2. 主因子法を用いた大腿骨骨端シルエットの解析結果は, 筆者らの仮説に立脚したものであり, 今後は実験的に本解析結果の検討を行う必要があろう. 本論文の要旨は, 昭和53年度日本臨床獣医学会(関東, 東京, 6月)に口頭発表した.
  • 江島 博康, 黒川 和雄, 阿部 恒夫, 池本 卯典
    1980 年 42 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    本研究は同種皮膚移植免疫によって得られた抗DLA抗体と妊娠中のイヌ血清から得られた抗DLA抗体についてその特異性を血清学的に検討したものである. 用いた9種の抗体は同腹ビーグル17頭の同種交換皮膚移植免疫により得られた8種と妊娠中のイヌ血清の1種である. 各抗体の検出はリンパ球細胞障害性試験により行った. また, それぞれ相補性を有するリンパ球に対する抗体価は4~512倍であった. これらの抗DLAについて40例のリンパ球に対するセログラムを観察し, それにもとずいてX2値を算出して特異性を検討した. 抗DLA-J1-J2, -J1-J8, -J2-J8のX2値はそれぞれ6.2, 4.0, 7.3, 抗DLA-J3-J6では4.8であり, 抗DLA-J1はDLA-J2, -J8と抗DLA-J3は抗DLA-J6とほぼ同一の系に属する抗体と推定された. 従って, 作製した9種の抗体はその特異性からDLA-J1-J2-J8, -J3-J6, -J4, -J5, -J7および-J9の6種に分類された.
  • Singh Jit, Dhablania D. C., Prasad B., Rathor S. S.
    1980 年 42 巻 1 号 p. 89-91
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    乳牛に較べてバッファローでは横隔膜ヘルニアが高率に発生することが知られているが, その原因については明らかにされていない. 本論文においては, 外科手術を行った58例を対象として病因論的解析を行った. その結果本症の主要因としては, 第一に横隔膜の先天的脆弱性, ついで創傷性横隔膜腹膜炎に起因する横隔膜の脆弱化, 分娩による腹圧の上昇などが考えられ, これらが複合して本症を高率に発生するものと考えられる.
  • 西田 利穂, 松沢 時弘
    1980 年 42 巻 1 号 p. 93-95,97
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    雌雄モルモットを用い, 肝臓および腎臓の可溶性分画における17β-HSDの多型現象を調べた. Disc電気泳動により, NADP依存の17β-HSDバンドは, エストラジオール17βを基質とした場合は1本, テストステロンを基質とした場合は5本が検出された. 両者間に重複はなかった.
  • 村上 隆之, 斎藤 勇夫, 望月 公子
    1980 年 42 巻 1 号 p. 99-101
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    フ卵7日目よりフ化後60日目までのウズラ心臓の固有心筋と特殊心筋のグリコーゲンを組織化学, ならびに透過電顕によってしらべた結果, フ化後2~10日目の特殊心筋には哺乳類の場合と同じく固有心筋よりも多量のグリコーゲンが含まれ, PAS反応によって両者が明瞭に区別されることが分った.
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