抄録
ウシの胎齢1.5ヵ月の胎仔より新生仔に至るまでの第四胃胃底部の粘膜表面すなわち内面構造についてその形態学的分化行程を観察し, とくに胃小窩と胃腺の形成について走査型電子顕微鏡と復構模型を用いて精査した. 初期胎仔の第四胃表面上にはすでに多くの細かなシワをもつ, ラセンヒダが現われていた(1・5-2ヵ月). その後ヒダの表面のシワは伸長して多くの直線状の縦走する隆起となり(3-4ヵ月), 続いておのおのの直線状の隆起上のところどころに浅いくびれが現われ, その数も次第に増加して, 個々の独立した隆起を形成する. この隆起下の粘膜固有層はすでに蜂巣状の網目を示し, 間に深いくぼみを形成していた(4-5ヵ月). その後, おのおのの隆起は次第に変形して俵状になり(5-7ヵ月), さらに月齢が進むと隆起も狭くなり, その間の溝が拡大してくる(7-9ヵ月). 新生期に至るとおのおのの隆起も次第に平坦になり, 溝の一部は胃小窩として拡大する. この胃小窩の出来方には変異があり, 1例では4個の隆起が接着して, その間の溝の接点が深くくぼみ胃小窩となり, 残りの部分の溝は消失する. またこれらの隆起に背中合わせに存在する隆起間にも胃小窩ができる場合があり, このようにして隆起と隆起との間の溝は失なわれ, 胃小窩が拡大し明瞭になるように思われた.