抄録
臨床的に著るしい発育遅延を示した38~160日令の自然発生萎縮性鼻炎豚18例を病理組織学的に検索した. 種々な程度の鼻甲介骨病変とともに, 全身諸骨の軟骨接合部(助軟骨接合部, 大腿骨近位端, 下顎骨切歯部結合)には軟骨基質の線維素析出を伴う明らかな融解性壊死性変化(軟骨内骨化障害)が観察された. その他臓器の変化として間質性筋炎, 膜性ならびに増殖性糸球体腎炎および髄外造血が頻繁に観察された. また38~60日令の6例の若齢豚の鼻粘膜管胞状線上皮細胞の核内に巨大細胞封入体の形成が認められた. これら形能学的所見は, 発育障害の病理発生に重要な所見を提供していると思われた. 萎縮性鼻炎を伴った今回の全身性の骨形成障害は, ある変質性刺激によってもたらされたものと推考された.