抄録
ニワトリの腺胃における胃酸分泌に対する迷走神経刺激およびカルバコール (CCh, 5μg/kg, i.v.) の促進作用におよぼすアトロピン (ATR,0.5mg/kg, i.v.), プログルミド (PGM, 100mg/kg, i.v.) およびメチアミド (MTM, 0.4mg/kg,i.v.) の影響を検討した. ニワトリ (ラミート種, 雄, 3.5~4.8kg) にウレタン麻酔, 人工呼吸, 両側迷走神経切除, 生理食塩水の補液および保温を施し, その腺胃に急性フィステルを装着し, 胃内灌流液の pH を連続記録した. 食道腺胃移行部で迷走神経を電気刺激 (50Hz, 0.1msec, 30volt, 40~60sec) した. 迷走神経刺激および CCh の適用は, 一過性 (transient phase; TP) およびこれに続く持続性 (lasting phase; LPの2相から成る低 pH 下反応をもたらした. TP反応はATRにより抑制されたが, PGM および MTM によっては影響されなかった. LP 反応は ATR, PGM および MTM のいずれによっても抑制された. PGM および MTM は, それぞれテトラガストリン (5μg/kg, i.v.) およびヒスタミン (10μg/kg, i.v.) による pH 低下反応を抑制した. 以上の成績から, ニワトリにおけるコリン作働性の胃酸分泌促進には, プログルミドおよびメチアミド感受性の過程が部分的に含まれることが考えられ, このことは, コリン作働性の胃酸分泌促進に内因性のガストリンおよびヒスタミンが関与する可能性を示唆している.