抄録
抗腎尿細管基底膜(TBM), 抗糸球体基底膜(GBM)ウサギ血清をイヌの静脈内あるいは腹腔内に投与すると, 全例に血尿・タンパク尿が認められた. 病理学的には皮質間質における尿細管の変性を伴う巣状あるいはび慢性の単核細胞浸潤, び慢性増殖性糸球体腎炎が見られたが, 間質病変と糸球体病変の重度は必ずしも相関しなかった. 電顕では, 皮質においてしばしばTBMに密接して単核細胞が見られ, 尿細管上皮細胞間および細胞内へ侵入する像も認められた. 免疫螢光法では, 両抗血清投与全例のGBMにウサギ IgG の線状沈着を認めたが, 皮質TBMでは不連続線状の沈着が1例のみに見られた. イヌTBMで免疫されたイヌでは腎病変の発現, 同種腎組織に対する自己抗体の産生は認められなかった.