抄録
ブタの胃食道部に実験的に発生させた潰瘍に対するペプスタチン(PEP), 珪酸アルミニウム(Al・Si), ポリアクリル酸ソーダ(PAS), アルギン酸ソーダ(AGS)の予防効果を,同一個体で内視鏡による連続観察によって検討した. 胃食道部に胃窓を装着した24頭のランドレース豚, および4頭のゲッチンゲンミニブタのうち, 実験開始時に胃食道部に異常が認められなかった23頭を試験豚とした. 試験豚に少量の飼料を給餌しながらベタゾル(50mg/頭)およびレセルピン(0.02mg/kg)を1日1回3日間皮下注射すると, 胃食道部に潰瘍が発生した(6/6). 試験物質を飼料中に添加して同様の実験をしたところ, PEP(20mg/日)とPAS(20g/日)投与ではそれぞれ0/4, 1/4の潰瘍発生が認められた. Al・SiとAGSの添加では潰瘍の発生を防止できなかった(2/2, 2/2). 別の実験で, 試験物質を経口投与して1時間後の胃内容中の酸度とペプシン活性を検査したところ, Al・Siに制酸効果が, PEPに抗ペプシン効果が認められた.