抄録
マウスの盲腸内に生息するTritrichomonas murisのin vitro 培養法について検討し以下の成績を得た. (1)既存の田辺・千葉, CPLMおよびBalamuth 培地に虫体を接種したところ, 24時間以内に虫体は消滅した. TYM 培地に接種された虫体は6日間生残したが, 継代4代目には消滅した. (2)TYM 培地の添加物を, マウス盲腸抽出液に溶解したTYM修正培地で虫体を培養したところ, 72日間(36代)維持することができた. (3)Ficol-Conray 800を用いた比重勾配法により, 多数の生虫体を分離することができた. (4)72日間にわたって継代した虫体を液体窒素で凍結, 14日後に解凍したところ生存が確認され, さらにTYM修正培地で1年間以上継代することができた.