日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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45 巻, 2 号
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  • 小久江 栄一, 榑林 陽一, 下田 実, 吐山 豊秋
    1983 年 45 巻 2 号 p. 143-149
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ブタの胃食道部に実験的に発生させた潰瘍に対するペプスタチン(PEP), 珪酸アルミニウム(Al・Si), ポリアクリル酸ソーダ(PAS), アルギン酸ソーダ(AGS)の予防効果を,同一個体で内視鏡による連続観察によって検討した. 胃食道部に胃窓を装着した24頭のランドレース豚, および4頭のゲッチンゲンミニブタのうち, 実験開始時に胃食道部に異常が認められなかった23頭を試験豚とした. 試験豚に少量の飼料を給餌しながらベタゾル(50mg/頭)およびレセルピン(0.02mg/kg)を1日1回3日間皮下注射すると, 胃食道部に潰瘍が発生した(6/6). 試験物質を飼料中に添加して同様の実験をしたところ, PEP(20mg/日)とPAS(20g/日)投与ではそれぞれ0/4, 1/4の潰瘍発生が認められた. Al・SiとAGSの添加では潰瘍の発生を防止できなかった(2/2, 2/2). 別の実験で, 試験物質を経口投与して1時間後の胃内容中の酸度とペプシン活性を検査したところ, Al・Siに制酸効果が, PEPに抗ペプシン効果が認められた.
  • 佐伯 英治, 東郷 正治, 今井 壮一, 石井 俊雄
    1983 年 45 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウスの盲腸内に生息するTritrichomonas murisのin vitro 培養法について検討し以下の成績を得た. (1)既存の田辺・千葉, CPLMおよびBalamuth 培地に虫体を接種したところ, 24時間以内に虫体は消滅した. TYM 培地に接種された虫体は6日間生残したが, 継代4代目には消滅した. (2)TYM 培地の添加物を, マウス盲腸抽出液に溶解したTYM修正培地で虫体を培養したところ, 72日間(36代)維持することができた. (3)Ficol-Conray 800を用いた比重勾配法により, 多数の生虫体を分離することができた. (4)72日間にわたって継代した虫体を液体窒素で凍結, 14日後に解凍したところ生存が確認され, さらにTYM修正培地で1年間以上継代することができた.
  • 池 和憲, 塗木 隆馬, 今井 壮一, 石井 俊雄
    1983 年 45 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    日本中央競馬会所属の競走馬60頭(3才馬7頭, 4才馬36頭, 5才以上の馬17頭)について糞便内に排泄される大腸内繊毛虫相および細菌叢を調査し, 以下の結果を得た. (1) 7科22属49種の繊毛虫を検出し, そのうち5種は日本においては未知種であった. (2)平均繊毛虫数は9.03×104/mlで, 宿主の年齢間に差は認められなかった. (3)平均出現種類数は21種で, 宿主の年齢間に差は認められなかった. (4)各属および種の検出率と繊毛虫数との間には有意な相関(P < 0.001)が認められ, 高密度で存在する繊毛虫は馬個体間での分布が広い傾向があった. (5)総細菌数は平均1.23×1010/mlで, 細菌叢に関してはグラム陰性桿菌が最も優勢で, 次いでグラム陽性球菌の順であった.
  • 大前 憲一, 米沢 昭一, 寺門 誠致
    1983 年 45 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1976年から1980年にかけて分離された大腸菌930株(牛由来株307株, 豚由来株414株および鶏由来株209株)を用いてCarbadox(Cdx)耐性形質を有するR plasmidの分布状況について検討した. Cdx耐性株は, 牛由来株および鶏由来株では検出されなかった. これらの菌株は, 嫌気性下でCdx 3.13μg/mlに対して感受性を示した. 一方豚由来株では, 414株中30株(7.2%)にCdx耐性株が認められた. これらはすべてCdxが豚赤痢の予防又は成長促進に使用されていた農場から分離されたものであった. またこれら耐性株中1980年に1農場に由来した21株(70%)から, Cdx耐性形質を有するR plasmidが検出された. これらCdx耐性形質は, 混合培養によりE. Coli K-12株ヘ常にStreptomycin, SpectinomycinおよびAmpicillin耐性を伴なって伝達可能であった. つぎにすでに報告した豚由来大腸菌から検出されたCdx耐性形質を有するpNV13を用いてその宿主域について検討したところpNV13は, Klebsiella pneumoniae, Citrobacter freundii, Salmonella typhi, Salmonella typhimurium および Shigella flexneri 3aに対して接合伝達が可能であったが, Treponema hyodysenteriae では認められなかった. これらpNV13を保有するtransconjugantの嫌気性下のCdx耐性値は, 最小発育阻止濃度で6.25~12.5μg/mlであった.
  • 金井 久
    1983 年 45 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    熟齢動物合計334例および成人117例について大腸菌を分離し, 6種の抗菌剤に対する耐性を調べ, さらに接合性Rプラスミドの検出をこころみた. 種鶏・種豚・乳牛および成人各個体から約30株ずつ総計13,455株の大腸菌を分離し, テトラサイクリン(TC), クロラムフェニコール(CM), ストレプトマイシン(SM), サルファ剤(SA), カナマイシン(KM)およびアミノベンジルペニシリン(APC)に対する耐性を調べた. 動物種別の耐性菌保有個体の割合および耐性菌分離頻度はそれぞれ種鶏100%, 95%; 種豚100%, 95%; 乳牛66%, 54%および成人65%, 39%であった. また, Rプラスミド保有個体の割合および検査株中のRプラスミド保有株の検出頻度はそれぞれ種鶏67%, 42%; 種豚72%, 35%; 乳牛34%, 20%および成人19%, 19%であった. 種鶏, 種豚では2~4剤耐性型が高率であったが, 乳牛および成人では1剤耐性型がそれぞれのグループの中で最も多く分離された. 種鶏・種豚では, 耐性菌ならびに接合性Rプラスミド検出率がともに高率で, 飼育期間中における大量の薬剤使用を反映していた.
  • 西田 隆雄, 李 且秀, 林 良博, 橋口 勉, 望月 公子
    1983 年 45 巻 2 号 p. 179-186
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    韓国在来鶏の雄14羽と雌42羽を計測し, 既報のインドネシア, フィリピンおよびマレーシア在来鶏の計測値と, 多変量解析法および単変量解析法によって比較検討した. その結果, 以下の形態学的特性が明らかにされた. (1)雄の韓国在来鶏はインドネシア在来鶏およびフィリピンとマレーシアの闘鶏型在来鶏とともに最大型群を形成する. (2)この最大型群のなかで, 雄の韓国在来鶏の形はインドネシア在来鶏およびマレーシアの闘鶏型在来鶏に似ているが, フィリピンの闘鶏型在来鶏とは非常に異なっている. (3)雌の韓国在来鶏は計測した雌在来鶏群のなかで最も大きく, さらにフィリピンとマレーシアの非闘鶏型の雄よりも大きい. (4)韓国在来鶏では雌雄間の大きさの差は著しいが, 形の差は大きくない. 本研究では8計測部位が主成分分析に用いられ, そのうち翼長と長骨長が鶏体の大きさと形の識別に, 最も適していることが明らかにされた.
  • 田村 淳子, 小久江 栄一, 吐山 豊秋
    1983 年 45 巻 2 号 p. 187-193
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    薬剤の筋肉内投与後の投与部位筋肉における吸収終了時間について, 血漿中薬物濃度の変化を薬物速度論の解析によって推定する方法を検討した. 動物はゲッチンゲンミニブタ10頭, 薬物はスルファモノメトキシン(SMM, 10mg/kg)の水溶液を用いた. SMM静注および筋注後の血漿中薬物濃度を薬物速度論によって解析した結果, 筋注後の吸収は完全であった. またLoo-Riegelman解析によると, 吸収過程は一次速度で, 吸収速度定数(ka)は2.87±2.14(hr-1) (n=8)と計算された. したがって平均投与部位残留率は1-(1-e-2.87t)として表わされた. 消失相における非投与部位筋肉と血漿中の薬物濃度比は0.428±0.0331(hr-1)(n=6)であった. また薬物投与後のある時点における投与部位での最大局所残留濃度は, 局所残留薬物量を考えられる最小の注射部位薬液分布容積である, 1ml/gで割ることによって得られる. kaの平均値の95%信頼限界下限値(0.961)を使用すると, 注射部位濃度が非注射部位筋肉濃度と等しくなる時間, つまり吸収終了時間は投薬約13時間後と算出された. 同時に行なったSMM筋注後の逐次屠殺による筋肉残留量を実測した結果, 吸収終了は投薬後5~7時間の間であった. 以上から筋注後の投与部位筋肉の薬物吸収終了時間は, 薬物速度論による解析によって, 安全に, 一定の規準をもって推定できると考えられた.
  • 岡田 幸助, 小沼 操, 沼宮内 茂, 香川 裕一, 南野 久晃, 伊藤 隆康, 小林 祐子, 森本 直子, 森田 洋之, 大島 寛一
    1983 年 45 巻 2 号 p. 195-202
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ白血病に羅患したウシの腫瘍細胞で, 腫瘍関連抗原(TAA)が補体依存抗体細胞障害試験(CDAC)および免疫蛍光法により検索された. 4頭のウシ白血病例の腫瘍で免疫したウサギ血清を正常牛の赤血球およびリンパ球で吸収し, これを抗TAA血清として用いた. 地力病性ウシ白血病(EBL)に羅患した21頭中18頭の腫瘍細胞はCDACにより陽性反応を示したが, 子ウシ型白血病の1頭は陰性であった. 細胞質中の抗原は免疫蛍光法で検索したEBL牛52頭全例のアセトン固定腫瘍細胞で検出された. 9頭の正常牛のリンパ球, EBL牛から得た3頭の正常胎児のリンパ球および3頭の子ウシ型白血病牛の腫瘍細胞では陽性反応は観察されなかった. 19頭のEBL牛の末梢血塗抹では37~97%のリンパ系細胞に蛍光が観察された. 一方, 7頭の正常牛の末梢血リンパ球はなんら陽性反応を示さなかった.
  • 小原 嘉昭, 中野 光志, 久米 常夫, 大島 正尚
    1983 年 45 巻 2 号 p. 203-208
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    野外の搾乳牛より分房乳を採材して, 乳汁中のライソゾーム酵素活性, 細胞数, 乳成分の相互関係について検討した. ライソゾーム酵素の中でN-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAGase), β-glucuronidase, acid phosphataseが細胞数と高い相関関係を示した.細胞数を対数にとると, NAG aseでは0.679から0.769,β-glucuronidase では0・592から0・720に相関係数が変化した. NAG aseはβ-glucuronidase, acid phosphatase, arylsulphataseと, かなり高い相関関係を示した (r=0.672~0.675). 塩素は NAGase (r=0.875), arylsulphatase (r=0.767)と非常に高い相関を示した. 乳糖と酵素活性の関係についてみるとNAG aseでr=-0.810, acid phosphataseでr=-0.676, arylsulphataseでr=-0.687, aldoraseではr=-0.612であった.乳蛋白質と酵素活性の相関は, β-glucuronidaseとα-mannosidaseでかなり高い値を示した. 乳脂肪はβ-glucuronidase, α-mannosidaseとaryl-sulphataseでr=0.453~0.567の相関係数を示した. このような結果から,ライソゾーム酵素の NAG aseは乳腺における炎症の指標として使用可能であり, β-glucuronidaseも乳房炎の診断に応用できることが示唆された.
  • 福田 俊, 飯田 治三, 松岡 理, 渋谷 光柱
    1983 年 45 巻 2 号 p. 209-215
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    実験用ビークルの繁殖コロニーにおいて, 30頭に後躯麻痺を主徴とする椎間板突出がみられた. 脊髄造影法を用いたエックス線写真では, 胸腰椎における椎管内への椎間板突出像と椎間腔の狭小化がみられた. 解剖学的には脊椎管内への髄核の脱出, 線維輪の変性および線維の断裂を伴う典型的な椎間板突出が観察された. 発症犬はいずれも若齢時から1頭用ケージ(70cm立方)に3頭を収容して飼育を続けたものであった. 今回観察された椎間板突出の多発は, 加齢に伴う椎間板の変性に加えて, 長期間にわたる過密飼育環境下での脊柱への異常な負荷の蓄積が最大の原因と考えられた.
  • 八十島 昭, 藤波 不二雄, 土井 邦雄, 小嶋 明広, 高田 博, 岡庭 梓
    1983 年 45 巻 2 号 p. 217-225
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウィルス学的および病理形態学的にイヌ・パルボウィルス(CPV)自然感染と診断された雑種犬1症例の電顕的検索で, 主として空腸絨毛先端部にウィルス粒子をみとめ, その増殖様式からイヌ・コロナウィルス(CCV)と考えられた. これに関連して絨毛上皮細胞の変化をみとめた. 同例の空腸内容から, イヌ腎培養細胞に細胞病原性を示すウィルス(戸田株)が分離され, 形態学的および物理化学的性状はコロナウィルスに一致した. 戸田株はネコ伝染性腹膜炎罹患ネコの腹水で中和された.
  • 杉山 広, 園田 二朗, 冨村 保, 西田 弘
    1983 年 45 巻 2 号 p. 227-236
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1979年7月から, 1981年5月までの間に, 奈良県吉野郡東吉野村の16箇所で, サワガニ4,833匹を採集し, これらを対象として肺吸虫メタセルカリアの寄生状況に関する調査を行った. 5箇所において捕獲した2,812匹のサワガニから, 合計290個のメタセルカリアを検出することができた. これらのメタセルカリア, およびネコへの感染試験を行って得た成虫と卵を精査したところ, ウェステルマン肺吸虫(宮崎のいうウェステルマン肺吸虫「基本型」, あるいは, 真のウェステルマン肺吸虫)であることが確認された. よって, 奈良県吉野郡東吉野村を本虫の分布地として新たに追加する.
  • 野村 紘一
    1983 年 45 巻 2 号 p. 237-240
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬子宮蓄膿症の自然病例においては, 子宮内膜の嚢胞性増殖症(C.E.H.)を伴う症例が多くみられる. 著者は自然病例から分離した大腸菌(O25, H-)の培養液を着床期と思われる黄体期に子宮内に接種し, C.E.H.を伴う子宮蓄膿症を作出することができ, その臨床的, 肉眼・病理組織学的所見は自然病例と同様であった.
  • 梅村 孝司, 勝田 修, 御領 政信, 林 隆敏, 板倉 智敏
    1983 年 45 巻 2 号 p. 241-243,246
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    14カ月齢の雌黒毛和種牛1例にChediak-Higashi症候群を認めた. 臨床的には発育遅延, 皮膚ならびに被毛の脱色, 末梢白血球における異常顆粒形成を示し, 病理学的には,骨髄白血球における細胞質内顆粒の減少, 大型化, あるいは異常顆粒の出現, 皮膚および眼球のメラニンの減少, 腎尿細管上皮細胞および脳幹の神経細胞における色素沈着, および諸臓器・組織における慢性炎症巣の多発がみられた.
  • 須永 裕, 谷 藤子, 向井 清孝
    1983 年 45 巻 2 号 p. 247-250
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    中国産のラクダ5頭が, ブルセラ病の血清学的検査で陽性と診断されたが, ブルセラ菌は分離されなかった. しかし, 4頭のリンパ節, 糞便からY. enterocolitica 09 (Ye)が分離された. また, 分離されたYeを抗原として凝集試験を行った結果, YeHに対する抗体が存在し, YeOHに対する抗体価は, ブルセラに対する抗体価よりも明らかに高値を示した.
  • 界外 昇, 杉山 明, 山中 進吾, 佐々木 理, 杉山 公宏, 磯田 政恵
    1983 年 45 巻 2 号 p. 251-254
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    後躯麻痺を主症状とする豚2頭を剖検したところ, 胸膜肺炎と胸椎両側の胸壁胸膜に1対の膿瘍がみられた. この膿瘍は, 脊柱管に達して脊髄を圧迫していた. 肺および膿瘍からHaemophilus pleuropnemoniae が分離された. H. pleuropnemoniae による膿瘍によって脊髄が圧迫されたために起こった後躯麻痺症例の報告は, 本例が最初であろう.
  • 関崎 勉, 寺門 誠致, 橋本 和典
    1983 年 45 巻 2 号 p. 255-257
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ST産生EntプラスミドpTE503と5剤耐性伝達性RプラスミドpTE147のin vivoにおける伝達性を, 無菌仔豚の腸管内で調べた. 薬剤耐性を指標として糞便中より得た, 耐性transconjugant 282株について, そのST産生能を検査したところ, 278株(98.6%)にST産生能の同時伝達が確認された.
  • 久保 正法, 森脇 正, 渡瀬 弘
    1983 年 45 巻 2 号 p. 259-262
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鹿児島県下で発症した牛ヨーネ病の腸病変を電顕的に観察した. Mycobacterium paratubercuiosis は粘膜固有層に浸潤したマクロファージ細胞質内に限界膜に包まれずに多数存在し, 明瞭な3層の細胞壁構造を有していた. ライソゾーム内にも若干の菌がみられたが, 多くは構造に異常を示さなかった.
  • 輿水 馨, 伊藤 正博, 曲渕 輝夫, 小谷 均
    1983 年 45 巻 2 号 p. 263-268
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    動物からのウレアプラズマ選択分離培地について検討した. ヒトおよび各種動物由来ウレアプラズマ18株に対するリンコマイシンの最小発育阻止濃度(MIC)は12.5~100μg/mlであり, 一方, 各種動物由来マイコプラズマ, アコレプラズマ計37株に対する本剤のMICは大部分の株が0.2~3.13μg/mlを示した. 常用分離培地にリンコマイシン5μg/mlを添加したところ, マイコプラズマおよびアコレプラズマの増殖が抑制され, ウレアプラズマが選択的に分離された.
  • 中尾 敏彦, 杉橋 章義, 嵯峨 伸彦, 角田 修男, 河田 啓一郎
    1983 年 45 巻 2 号 p. 269-273
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    臨床上卵胞嚢腫と診断された乳牛180頭に対して黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)類似体(フェルチレリン) 50μg, 100μgおよび200μgの筋肉内注射を行い, 投与量別の治療効果を比較検討した. 初回治療後90日以内に受胎した頭数の割合および治療から受胎までの平均日数は, 50μg投与群で35.8%(19/53)および40±21日, 100μg投与群で45.3%(34/75)および41±26日, 200μg投与群では36.5%(19/52)および45±25日で, 投与量別に殆ど差はなかった. また, 治療後10~14日目の乳汁中progesterone値の増加を指標とした効果判定成績においても投与量別に殆ど差がみられなかった. したがって, フェルチレリンの卵胞嚢腫に対する効果は, 50~200μgの範囲内では用量別に差がないものと考えられた.
  • 原沢 亮, 尾崎 明, 光岡 知足
    1983 年 45 巻 2 号 p. 275-279
    発行日: 1983/04/05
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    2ヶ月齢のC57BL/6雄マウスの脳・肝からハイドロキシアパタイト・バッチ溶離法によりDNAを抽出した. その加水分解物は陽イオン交換樹脂カラムを用いた高速液体クロマトグラフにより分画され, 脳・肝におけるDNAのメチル化が確認された. さらに, 両組織のDNAは制限酵素HpaIIとMspIで消化後のアガロース・ゲル電気泳動像から, 脳・肝ともにHpaII部位の第2位シトシンの高頻度メチル化が示された. また, 脳・肝いずれのDNAにもMspI消化後の泳動像に不連続なバンドが出現したことから, メチル化HpaII部位を両側にもつ反復配列がC57BL/6マウスのゲノム中に存在することが示唆された.
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