抄録
野外の搾乳牛より分房乳を採材して, 乳汁中のライソゾーム酵素活性, 細胞数, 乳成分の相互関係について検討した. ライソゾーム酵素の中でN-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAGase), β-glucuronidase, acid phosphataseが細胞数と高い相関関係を示した.細胞数を対数にとると, NAG aseでは0.679から0.769,β-glucuronidase では0・592から0・720に相関係数が変化した. NAG aseはβ-glucuronidase, acid phosphatase, arylsulphataseと, かなり高い相関関係を示した (r=0.672~0.675). 塩素は NAGase (r=0.875), arylsulphatase (r=0.767)と非常に高い相関を示した. 乳糖と酵素活性の関係についてみるとNAG aseでr=-0.810, acid phosphataseでr=-0.676, arylsulphataseでr=-0.687, aldoraseではr=-0.612であった.乳蛋白質と酵素活性の相関は, β-glucuronidaseとα-mannosidaseでかなり高い値を示した. 乳脂肪はβ-glucuronidase, α-mannosidaseとaryl-sulphataseでr=0.453~0.567の相関係数を示した. このような結果から,ライソゾーム酵素の NAG aseは乳腺における炎症の指標として使用可能であり, β-glucuronidaseも乳房炎の診断に応用できることが示唆された.