抄録
実験用ビークルの繁殖コロニーにおいて, 30頭に後躯麻痺を主徴とする椎間板突出がみられた. 脊髄造影法を用いたエックス線写真では, 胸腰椎における椎管内への椎間板突出像と椎間腔の狭小化がみられた. 解剖学的には脊椎管内への髄核の脱出, 線維輪の変性および線維の断裂を伴う典型的な椎間板突出が観察された. 発症犬はいずれも若齢時から1頭用ケージ(70cm立方)に3頭を収容して飼育を続けたものであった. 今回観察された椎間板突出の多発は, 加齢に伴う椎間板の変性に加えて, 長期間にわたる過密飼育環境下での脊柱への異常な負荷の蓄積が最大の原因と考えられた.