日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ネコ伝染性腹膜炎(FIP)における胸腺由来リンパ球と液性抗体の役割
林 俊春佐々木 伸雄網 康至藤原 公策
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1983 年 45 巻 6 号 p. 759-766

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抄録
胸腺摘出あるいは免疫血清または免疫腹水を投与した抗体陰性ネコの胃内にFIPウイルスを接種すると, 接種後10日目の剖検で, 胸腺摘出例では無処置対照例に比べ, より強い腸病変がみられた. 一方, 抗体を投与した胸腺摘出例あるいは偽胸腺摘出例では線維素性腹膜炎がみられ, 病変は前者でより強かった. 以上のことから経口感染の場合, 漿膜および臓器病変の形成は液性抗体の存在によりむしろ促進され, 胸腺依存域リンパ球によって抑制されることが示唆された.
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