抄録
日本で分離されたIBウイルス(IBV)との間に広交差性が認められた発育卵順化 Beaudette 株を用いた中和試験で, 野外鶏における伝染性気管支炎(IB)の診断を行った. 各地の鶏群を対象に抗体検出率および抗体価分布率を求めたところIBワクチン投与鶏の92.7%, 非投与鶏の68.7%が反応し, 発育卵順化 Beaudette 株が使用可能であることが示唆された. そこで1980~1981年に集められた呼吸器症状を呈した肉用鶏のペア血清を用いてIBVとマイコプラズマ・ガリセプチカム(Mg)の感染について調査した結果, IBワクチン無投与鶏群の59.2%にIB, 8.3%にMg感染が認められ, 混合感染例は10.9%であった. ワクチン投与鶏群においては36.6%にIB, 13.4%にMgの感染が認められ, 8.9%が混合感染例と診断された. IB発生週齢はワクチン投与の有無に関係なく3週齢に多くみられた.