日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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豚肺虫成虫抽出液の白血球遊走因子の分離について
佐々木 脩勝野 正則
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1984 年 46 巻 3 号 p. 357-361

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抄録
正常モルモットの好酸球, 好中球, マクロファージに対する遊走因子を含む成熟豚肺虫の抽出液を硫安塩析, Sephadex G-100ゲル濾過, 等電点分画法により分画した。遊走因子は33~50%硫安飽和で沈降する蛋白部分にあるものと推察された。Sephadex G-100によるゲル濾過では, 2峰性の蛋白質ピークのうち第1峰に遊走因子の大部分が含まれ, その分子量は約16万と推察された。この第1峰を等電点分画法により分画したところマクロファージ遊走因子は, pH4.8±0.2, 6.7±0.2 と 7.4±0.2の画分に, 好中球遊走因子は pH5.2±0.2 と 6.7±0.2 の画分に高い活性が認められた。しかし好酸球に対する活性は pH7.2±0.2 をピークとして pH5.8~7.8 の画分に幅広く分布した。これらのことから, 豚肺虫成虫抽出液中には各種白血球に特異性の高い遊走因子と, それらに共通に作用する因子があることが示唆された。
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