日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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46 巻, 3 号
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  • 岡田 洋之, 岡田 幸助, 沼宮内 茂, 大島 寛一
    1984 年 46 巻 3 号 p. 257-264
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1979年から1982年にかけて東北地方において衰弱もしくは肺炎により斃死し, ロ粘膜および皮膚に丘疹が多発した14頭のニホンカモシカについて病理学的研究を行った。病巣は粘膜上皮あるいは表皮における限局した錬細胞増多症に始まり, これら変性細胞の細胞質内に好塩基性ならびに好酸性封入体を認めた。病変の進展に伴い表層の壊死および痂皮形成が見られた。粘膜固有層あるいは真皮において, 組織球性細胞の増殖および充出血を伴う毛細血管の増数が認められた。今回検索した病巣では膿疱形成あるいは角化亢進はまれであることから, 丘疹性口炎ないし皮膚炎と診断されるべきものが大部分を占めた。病理組織学的に (1) 丘疹性壊死性口炎ないし皮膚炎, (2) 膿疱性壊死性口炎ないし皮膚炎, および (3) 著しい角質層の増生を伴う丘疹性壊死性皮膚炎の三群に分類され, これらはおおむね病期の進展に一致するものと理解された。
  • 北村 和之, 八十島 昭, 岩崎 仁, 小嶋 明広, 土井 邦雄, 岡庭 梓
    1984 年 46 巻 3 号 p. 265-271
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    無菌ブタ血清を週2回, 繰返し腹腔内注射することによってラットに惹起される病理学的変化を12週間にわたって観察した。変化は主として肝臓, 腎臓および脾臓に認められた。肝臓では約3週頃から中心静脈周囲および門脈域に結合織線維増生が認められ, さらにDisse腔にも電顕的に観察された。8週以降では, 全検索例の肝臓に偽小葉およびその線維性中隔内における多数の脂肪摂取細胞 (伊東細胞) が観察された。線維増生の初期には中心静脈周囲および門脈域に好酸球および肥満細胞の浸潤が観察された。肝細胞あるいは類洞内皮細胞には全検索期間を通じて変化を認めなかった。腎臓では光顕的には変化は指摘されなかったが2週以降, 電顕的にメサンジウム域に電子密度の高い物質の沈着が観察され, 蛍光抗体法ではその部位にラットIgGの沈着が認められた。脾臓では2週以降, 肝中心活性化を示すリンパ濾胞の腫大が目立った。
  • 林 俊春, 山越 純, 網 康至, 藤原 公策
    1984 年 46 巻 3 号 p. 273-279
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ伝染性腹膜炎 (FIP) ウイルス胃内接種直前に, 高力価の免疫腹水を投与すると, 接種翌日から3日までに腸管および内臓に早期に病変が出現した。接種翌日には小腸粘膜固有層にウイルス抗原をもつ少数の好中球の浸潤がみられた。接種後3日には小腸・大腸粘膜固有層~粘膜下組織に中度あるいけ重度の好中球, マクロファージ, ときにリンパ球, プラズマ細胞を混じた浸潤, 腸粘膜上皮の剥離が観察され, ウイルス抗原は好中球のみならず, マクロファージおよび腸粘膜上皮にも検出された。これらの成績から, 好中球が初期の腸病変の発現に重要な役割を果していることが示唆された。
  • 元井 葭子, 金野 慎一郎, 南野 久晃, 新林 恒一, 牛見 忠蔵
    1984 年 46 巻 3 号 p. 281-289
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛の脂肪壊死症の野外発生例30頭を10頭ずつの3群に分けて治療試験を試みた。第1群にはハトムギ (ヨクイニン) を300g, 第2群には大豆由来のビタミンE含有物 (S) を150g, 第3群にはハトムギ 150g と S150g 混合物を毎日約4ヵ月間投与して臨床所見および直腸検査による腹腔内脂肪壊死塊の状態を観察した。さらに各群の半数例はアルギニンを負荷することにより, 治療期間の短縮を試みた。その結果, ハトムギあるいはS投与により壊死塊消失率17%, 壊死塊縮小率67%が確認された。アルギン負荷による膵グルカゴン, インスリンや脂質成分の応答を調べると, 健康牛では一定の応答パターンを示したのに対して病牛はグルカゴンの応答分泌量が低いことがわかり, 治療後グルカゴンはほぼ正常値に回復したのに対して, 遊離脂肪酸は治療後も異常パターンを示した。以上から本症における膵内分泌機能異常が示唆された。
  • 藤村 久子, 西田 隆雄, 佐々木 博之, 次山 磐, 望月 公子
    1984 年 46 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    挿入型のファーラスをもつバリケン雄の肝について排泄腔旁脈管体の組織発生を観察し, 以下の結果を得た。排泄腔旁脈管体は少数の毛細血管を含む間葉細胞の集塊として, 孵卵14日に尿洞の両外側に認められた。孵卵16日には小動・静脈を含めて血管系がよく発達し, 孵卵18日に毛細血管索および周縁リンパ腔が部分的に出現した。以後, 脈管体実質の全周にわたって周縁リンパ腔が徐々に形成され, 同時に内リンパ腔, 柱および被膜も発達し, 孵卵24日までに排泄腔旁脈管体のおもな構成要素のすべてが出現した。これらの所見はニワトリの場合と同様であった。一方,線維リンパ体のリンパ腔は排泄腔旁脈管体の周縁リンパ腔から孵卵19日に派生し, 孵卵24日には線維リンパ体中に網工状のリンパ腔を形成した。
  • 岡田 洋之, 岡田 幸助, 沼宮内 茂, 大島 寛一
    1984 年 46 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニホンカモシカの伝染性丘疹性皮膚炎8例の粘膜および皮膚病変を電顕的に検索した。胚芽層および有棘層下層では一部に軽度の細胞浸潤が認められたが, これらの細胞ではウイルス粒子は観察されなかった。有棘層中層の細胞では, 細胞質はやや水腫性となり, 水腫は核側より拡大する傾向が見られ, 核周囲に未成熟ウイルス粒子を含む電子密度の高い基質から成るビロプラズマと,その周囲に多数の300×160 nmの回転楕円体成熟粒子が観察された。核内には管状構造物あるいは線維状物が見られた。有棘層上層の細胞では水腫は細胞質全域におよび, 細胞内小器官の消失が顕著で, 多数のウイルス粒子が観察された。一部の例では細胞質内に帯状あるいは球状の微細穎粒の集合体が観察された。肉眼的あるいけ光顕的に認められた丘疹性病変は有棘細胞におけるウイルス増殖にもとづくことが明らかにされた。
  • 河上 栄一, 筒井 敏彦, 山田 陽一, 山内 亮
    1984 年 46 巻 3 号 p. 303-308
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    雑犬について陰睾発生率を調べた後, 発情雌犬に対する性行動を観察し, さらに相手法により精液採取を行い, 射精能および精液性状について検討した。調査した2,365頭の雄大の陰睾発生率は 1.2%(29頭) で, いずれも片側性で左右発生率に大きな差はみられず, 8頭が腹腔内, 21頭が鼠径部陰睾であった。これら陰睾犬では, 性欲が弱く, 射精能を調べた19頭中8頭では射精が認められなかった。また,正常犬の精液性状と比較し, これら陰睾犬の総精液量・総精子数は, それぞれ平均7.2ml, 1.2×108で, 精子活力はやや低く, 総奇形率・未熟精子出現率は平均20.2%, 19.4%と高く, 精液性状は全般的に不良であった。
  • 元井 葭子, 小原 嘉昭, 新林 恒一
    1984 年 46 巻 3 号 p. 309-314
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    肥育用配合飼料および圧ぺん大麦多給時における牛の第一胃内容物および血漿中のヒスタミンの採食に伴う変動について観察した。第一胃カニューレを装着した実験牛3頭を圧ぺん大麦のみ100%給与区 (飼料区1 ), 牛肥育用の配合飼料50%と大麦50% (飼料区2), 配合飼料75%と大麦25% (飼料区3), ついで配合飼料のみ100% (飼料区4) で各4~5週間順次飼育し, さらに4~5週間, 乾草, ヘィキューブ, 稲わらと配合飼料 (飼料区5) で飼育した。血液, 第一胃液および尿の採材は各飼料区の最終日に行った。第一胃内のヒスタミン濃度はすべての濃厚飼料給与区 (飼料区1~4) において飼料区5より高い値を示した。とくに飼料区3と4では著明に高く, 採食後その濃度は最高値に達した。血漿ヒスタミン濃度は飼料区3と4で採食前に飼料区1, 2と5よりも明らかに高い値を示した。飼料区1と2では採食後, 特異的な変化を示さなかったが, 飼料区3と4では採食後著明に増加した。以上の結果から, 配合飼料を多給した場合は第一胃内容物のヒスタミン濃度は採食後著しく増加し, この増加が血中濃度に反映するものと思われた。
  • 中村 和市, 橋本 善春, 北川 浩, 工藤 規雄
    1984 年 46 巻 3 号 p. 315-321
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    抗原としてジニトロフェニール基結合明ばん沈澱ウシ血清アルブミンをマウス肉球皮下に投与後3時間で, リンパ節内傍皮質 (胸腺依存領域) において抗原摂食細胞が観察された。投与後1週間には, 皮質リンパ小節において胸腺依存領域に接して腔中心が形成され, 内部には少数のTリンパ球を含んでいた。投与後2週間では, 胚中心皮質側にIgGを伴った抗原が細網状にみとめられた。これらの所見から, リンパ節胚中心の形成と機能の保持には, 食細胞を介する傍皮質内への抗原の侵入と, それに続くTリンパ球, Bリンパ球の協調が重要であることが示唆された。
  • 岩崎 仁, 北村 和之, 土井 邦雄, 岡庭 梓
    1984 年 46 巻 3 号 p. 323-330
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    320,000単位のビタミンD2を高脂肪食飼育の雄SHRに4日間投与することにより, 大動脈壁にはいわゆる Monckeberg 型の動脈硬化症が惹起された。大動脈周囲脂肪組織や脳硬膜下組織をはじめ全身性に著明な出血がみられた。ビタミンと同時に抗Ca剤 diltiazem (60, 2×60, および120 mg/kg/日) を7日間にわたって経口投与することにより, ビタミンD2誘発による血管病変ならびに出血の発現は阻止された。とくにdiltiazem (60 mg/kg) を1日2回投与した動物では防御効果はほぼ完全であった。
  • 下田 実, 清水 功雄, 小久江 栄一, 吐山 豊秋
    1984 年 46 巻 3 号 p. 331-337
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    10頭のランドレス系肥育豚 (3.5~6ヶ月齢) にスルファモノメトキシン (SMM) の3用量 (10, 50および100mg/kg) を静脈内股与後, 血中動態と腎排世を調べ, 非線形動態の原因を検討した。いずれの用量を投与した場合にも, SMMのアセチル化代謝産物 (AcSMM) が相当量血漿中に出現し, 尿中耕池量の約80%はAcSMM であった。このことから, SMMの主な消失経路はアセチル化とその後の腎排他であると考えられた。SMMおよびAcSMMの血漿中濃度時間曲線下の面積(AUC)と最低用量に対するそれぞれの用量の割合との比は, 用量依存的に増加した。各用量に'ついて, SMMのAUCとAcSMMのそれとの合計とAcSMMのAUCの比との間には有意差はなかった。これらの結果から, 高用量投与の場合においてもAcSMMの合成反応は未飽和であることが示唆された。10mg/kg投与後のSMMとAcSMM の腎クリアランスは, 実験期間中ほどんど一定であったが, 高用量ではそれぞれ投与初期低く以後高くなり, 高用量投与時の消失初期における腎排胆の飽和は非線形態ともたらす要因と考えられた。
  • 竹内 正太郎, 中島 靖之, 上田 久, 元井 葭子, 小林 良則, 両角 徹雄
    1984 年 46 巻 3 号 p. 339-344
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛の肝膿瘍の発症機序を解析する目的で, Fusobacterium necrophorum biovar Aの生菌を牛の第1胃静脈内に接種して肝膿瘍の形成を調べた。4.4×108個/ml 以上の生菌を接種された2頭の牛は接種2日以内に死亡し, それらの肝臓には多数の壊死巣が認められた。これに対して, 2.8~1.4×108個/ml の生菌を接種した7頭の牛では, 死亡した1頭の牛を除いて, 臨床的に異常を認めなかった。しかし, 接種9~21日後の剖検時に肝膿瘍がこれらの牛で認められ, さらに, 2力月齢の子牛では肺膿瘍も形成されていた。接種菌の F. mecrophorum は肝膿瘍および肺膿瘍から 106~109個/g 回収されたほか, 肝臓の正常部位, 肝門リンパ節および他の臓器からも分離された。接種菌のほかに, Corynebacterium pyogenes が2頭の牛の肝膿瘍および肝門リンパ節から分離された。対照的に, 1.2×109個/mlの生菌を頚静脈内に接種した牛では, 肝膿瘍あるいは肝臓の壊死巣は形成されなかった。また, F. necrophorumの濃縮培養上清を用いた寒天ゲル内沈降反応によって, 16~128倍の沈降抗体が肝膿瘍を有する牛で証明された。
  • 杉山 広, 園田 二朗, 奥田 稔, 冨村 保
    1984 年 46 巻 3 号 p. 345-356
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウェステルマン肺吸虫 (両性生殖型) に対する感受性, 体内における虫体発育状況, 寄生部位, および本虫感染にもとつくサルの病態を調べ, カニクイザル, ニホンザルおよびタイワンザルがウェステルマン肺吸虫 (両性生殖型) のパラテニックホスト (待機宿主) になることを明らかにした。カニクイザル3頭, ニホンザル1頭, タイワンザル1頭に本虫のメタセルカリアをそれぞれ120個投与し, 70~400日目に剖検した。全例とも臨床症状, 肺吸虫卵排出は認められなかったが, 持続性の著明な好酸球増多症が観察された。虫体の回収率は35.0~51.7% (平均44・2%) で, サルの種類に関係なく, 回収虫体の大多数 (平均93.6%) は, ほとんど未発育の状態で筋肉, とくに躯幹および四肢から検出された。胸腔, 腹腔, 横隔膜, 肝臓, 心筋, 皮膚・皮下組織などからも, 少数ながら幼若虫が回収されたが, 肺には虫嚢形成が認められず, 虫体も証明できなかった。これらの幼若虫を終宿主であるネコに経口投与すると, 虫体の回収率は60~90%で, 肺に虫嚢の形成を認め, 投与後41~66日に糞便内拶排卵が開始した。
  • 佐々木 脩, 勝野 正則
    1984 年 46 巻 3 号 p. 357-361
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    正常モルモットの好酸球, 好中球, マクロファージに対する遊走因子を含む成熟豚肺虫の抽出液を硫安塩析, Sephadex G-100ゲル濾過, 等電点分画法により分画した。遊走因子は33~50%硫安飽和で沈降する蛋白部分にあるものと推察された。Sephadex G-100によるゲル濾過では, 2峰性の蛋白質ピークのうち第1峰に遊走因子の大部分が含まれ, その分子量は約16万と推察された。この第1峰を等電点分画法により分画したところマクロファージ遊走因子は, pH4.8±0.2, 6.7±0.2 と 7.4±0.2の画分に, 好中球遊走因子は pH5.2±0.2 と 6.7±0.2 の画分に高い活性が認められた。しかし好酸球に対する活性は pH7.2±0.2 をピークとして pH5.8~7.8 の画分に幅広く分布した。これらのことから, 豚肺虫成虫抽出液中には各種白血球に特異性の高い遊走因子と, それらに共通に作用する因子があることが示唆された。
  • 榛沢 義明, 岡 千晶, 石黒 直隆, 佐藤 儀平
    1984 年 46 巻 3 号 p. 363-372
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    汚水中の大腸菌群数と薬剤耐性大腸菌数を知る目的で, 8豚舎から22サンプルの汚水を, また9牛舎から19サンプルの汚水を1976年から1977年にかけて採集した。汚水の理化学性状として, 化学的酸素要求量 (COD), 浮遊物質 (SS), pH値を検査し, 汚水中の大腸菌数あるいは薬剤耐性菌数との間の相関関係を調べた。 牛舎由来の尿槽汚水のpH値と大腸菌群数との関係を除いて, 有意な相関関係はみられなかった。アルカリ性を示す牛舎由来の尿槽汚水の大腸菌群数は, 他のサンプルに比べ顕著に少なかった。汚水処理施設を有する豚舎(E)の汚水は, 大腸菌群数の減少とともに, COD値も減少しており, 処理の有用性が証明された。豚舎材料から分離された465株の大腸菌の内449株(97%)が, アンピシリン, フラトリジン, クロラムフェニコール, カナマイシン, ストレプトマイシン (SM), サルファ剤 (Su), テトラサイクリン (Tc) の少なくとも1剤に耐性を示した。一方, 牛舎由来230株の大腸菌においては180株 (78%) が同様に耐性を示した。Tc, Sm, Su耐性は, 豚, 牛由来大腸菌とも高率であったが, 耐性菌の分離頻度は豚舎材料で牛舎材料に比べて高かった。豚舎由来大腸菌はアール型の薬剤耐性を示し, 牛舎由来菌24型に比べ複雑であった。伝達性を示すR plasmidは豚では56%, 牛では33%で, 温度感受性を示すR plasmidは豚舎由来大腸菌株でのみみられた。
  • 新城 敏晴, 清山 紘子
    1984 年 46 巻 3 号 p. 373-375
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Bacteriudes fragilis群の繊毛と, ニワトリ, モルモット, ウサギおよびヒツジの赤血球に対する凝集性をしらべた。供試した5菌種16株のすべてに繊毛が確認され, 3株がニワトリ赤血球のみを凝集した。
  • 局 博一, 鈴木 明
    1984 年 46 巻 3 号 p. 377-380
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラットの迷走神経求心性線維から人工呼吸下で自発放電を記録することにより, 放電と呼吸周期との相互関係および肺の収縮, 拡張に対する応答様式を明らかにした。吸息時にのみ安定して放電する線維, 吸息時と呼息時に連続して放電する線維, 呼息時にのみ安定して放電し, かつ肺の強制的な収縮に対して鋭敏に応答する線維, 吸息時または呼息時に少数の放電を行い, 急速に順応する線維が見出された。これらのうち呼息時に安定して放電する線維はこれまで, 兎でのみ報告されているものであった。
  • 山手 丈至, 工藤 悟, 田島 正典
    1984 年 46 巻 3 号 p. 381-384
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    長期毒性試験に用いられだ2,610匹の Fischer 344ラットを検索し, 92から109週齢の21匹のラットに21例の自然発生心臓腫瘍を認めた。21例の腫傷は2例の hemangioma と19例の fibroma と診断された。2例の hemangioma は2匹の雄ラットの右心室内膜面に認められ, 毛細血管型血管腫の特徴を示した。19例の fibroma はl1匹の雄ラットおよび8匹の雌ラットに認められ, 10例が右心室壁, 4例が左心室壁, 5例が心室中隔に発生し, 心筋内で増殖していた。
  • 牧田 登之, 矢本 敬, 小川 和重, 荒木 伸一, 阿川 啓雄, 杉浦 喜久弥, 上田 秀夫, 小林 経子, 花木 久実子, 板垣 慎一, ...
    1984 年 46 巻 3 号 p. 385-390
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    香川県小豆島で捕獲された野生日本ザルの1群から雄16頭と雌4頭をえらび, 2~3才群, 5~7才群, 10才以上群に分けて, 体重と, 心臓, 肺臓, 脾臓, 腎臓, 膀胱, 肝臓, 胆嚢, 膵臓, 耳下腺, 顎下腺 (下顎腺), 胃, 胸腺, 副腎, 甲状腺, 下垂体, 大脳, 小脳, 眼球, 精巣, 精嚢腺, 精巣上体, 前立腺, 子宮, 卵巣の重量を計測し体重比を算出した。また小腸, 盲腸, 大腸の長さを計測した。これらの値と動物園で飼育された雄4頭雌2頭の台湾ザルについての測定値と比較した。
  • 今井 壮一
    1984 年 46 巻 3 号 p. 391-395
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    タイ産コブ牛のルーメン内繊毛虫粗について調査した結果, Polymorphella 属の1新種, および Entodinium 属の1新型を認め, それぞれ P. bovis sp. n., Entodinium longinucleatum f. spinolobum f.n. として記載した。これまでに, E. longinucleatum の近縁種として尾棘を有する独立の2種が記載されているが, 尾棘は種の標徴としてきわめて不適当であると考えられるので, これらをすべて E. longinucleatum. の型として記載すべきことを提唱した。
  • 白坂 昭治, 梅木 富士郎
    1984 年 46 巻 3 号 p. 397-399
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリおよびウシの臨床例から分離された71株ならびに参考株として NCTC および WRL の13株, 合計84株のClostridium septicum について, 8種類の抗生物質感受性をしらべた。すべての株は MIC 0.013~3.13μg/ml の範囲で全薬剤に感受性を示し, とくにβ-lactam 系薬剤に最も感受性が高かった (MIC<90>は0.05μg/ml)。いっぽう, ニワトリ由来株の大部分は, NCTCおよびWRL株に比しtetracyclineに対して感受性が低かった。
  • 岡田 幸助, 藤本 胖
    1984 年 46 巻 3 号 p. 401-404
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1975年に北海道の水族館のオタリア (Oraria byronia, Otariidea) に発生した皮膚seal poxの3種類の封入体を電顕的に検索した。好塩基性細胞質封入体は多数の未熟ならぴに成熟ウイルス粒子を含む電子密度の高い物質からなり, 成熟粒子は140×300 nmでパラポックスウイルスの特徴をそなえていた。好酸性細胞質封入体は電子密度の高い穎粒状物の塊りでウイルス粒子を含まなかった。核内封入体は細線維の束よりなり, ウイルス複製の二次的産物とみなされた。
  • 中村 孝, 中張 淳平, 町田 登, 桐生 啓治, 町田 昌昭
    1984 年 46 巻 3 号 p. 405-408
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    日本カモシカの剖検例5例の肝臓に槍形吸虫 (Dicrocoelium dendriticum) の寄生をみとめた。吸虫は胆管内に寄生し, 粘膜における上皮細胞の過形成および globule leucocyte の出現, 粘膜下織におけるリンパ球・好酸球の浸潤, 胆管壁における肉芽組織増殖および線維性肥厚がみられた。
  • ウイ ホンキェン, 神谷 正男, 工藤 忠明, 橋本 晃, 北沢 馨
    1984 年 46 巻 3 号 p. 409-412
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1983年10月, 岐阜市で得たタヌキの横隔膜からメタセルカリア (=diplostomulum) が検出され, 宿主由来の組織によって被嚢され, 顕著な tribocytic organ を持ち, 形態学的特徴から, 本吸虫は壼形吸虫 Pharyngostomum cordatum と同定された。仔犬に diplostomula を経口投与したが成虫は回収されなかった。タヌキからの本吸虫メタセルカリアの検出はこれが最初であり, 本邦においてタヌキが壷形吸虫の待機宿主となることが示唆された。
  • 久保 正法, 大宅 辰夫, 渡瀬 弘
    1984 年 46 巻 3 号 p. 413-417
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鹿児島市の1屠畜場において, 1981年6月から1983年7月までに摘発された豚の増殖性出血性腸炎 303例について病理組織的に観察した。303例中約80%は4養豚場由来で, 1981年6月から1982年5月までは散発的であったが, 1982年6月からは毎月摘発された。病変のみられた部位は, 回腸 303例 (100%), 盲腸 134例 (44%), 結腸 44例 (15%), 空腸 5例 (0.2%)であった。組織学的には陰窩の過形成が主で, 168例には粘膜の壊死があり, 140例では類上皮細胞の増殖がみられた。
  • 飯田 恒義, 松川 清, 牧野 鎮
    1984 年 46 巻 3 号 p. 419-422
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種250例, 黒毛和種100例のと殺牛の心臓を検索し, それぞれ72および29%に, 心臓腱索心内膜における乳頭腫様増生を認めた。本病変は両房室弁の腱索のみに認められ, 弁膜に近い部分の血液流入面に多発し, 変性性病変または細胞反応などは認められなかった。弁膜には病変は見られなかった。発現率は18力月齢以上で著しく高かった。
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