1985 年 47 巻 6 号 p. 879-888
可移植性マレック病腫瘍細胞株(MDCC-MSB1-41C)移植鶏血清(移植血清)および正常鶏血清(正常血清)を用いて, pH5~6領域のクロマトフォーカシングを行い, その出現パターンを比較した. 移植血清では5つの主要なピーク(I~V)の出現が認められたが, 正常血清では移植血清で認められたピーク(I~IV)が正確には観察できなかった. ピークIおよびIIは, 腫瘍の発達に伴なって高く出現した. ゲル炉過によって精製したピークIおよびIIは, SDS電気泳動法によりいずれも分子量が約105,000(105K)の糖蛋白質であった. 細胞融合法によって, 精製ピークIおよびIIに対する単クローン抗体の作製を試み計6つの抗体を得た. これらの単クローン抗体は, いずれもピークIおよびIIに対して等しく反応した. さらに, 得られた単クローン抗体の1つP5-13抗体を用いたイムノブロッティング法により, 正常ならびに移植血清のいずれの血清においても, 105Kの位置に単一のバンドが検出された. バンドの濃さは, 腫瘍の発達に伴ない強く出現した. 以上の成績は, 鶏の担癌状態の進行に伴なって105K糖蛋質が増加することを示唆している.