日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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母胎環境の変化が胎仔心拍数におよぼす影響
増山 いづみ菅野 茂澤崎 坦
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1986 年 48 巻 1 号 p. 61-68

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抄録
Wistar系妊娠雌ラット33匹について, 母親, 胎仔および胎盤の重量, 母親の心拍数(MHR), 血圧(MBP), および胎仔の心拍数(FHR)を観察した。そのうちの22匹については, 自律神経作動薬(ノルエピネフリン: NE, イソプロテレノール: Isp, アセチルコリン: ACh)を母親および胎仔の静脈内または腹腔内に投与し, MHR, MBPおよびFHRの変化を調べた。母親と胎仔の体重は妊娠の進行にともない, 指数関数的増加を示したが, 胎盤重量は直線的増加を示した。MHRとFHRは徐々に増加したが, MBPはしだいに減少した。自律神経作動薬を投与したときの母親の各数値の変化は, 非妊娠ラットと質的に同じであった。NEを投与したときのMBP, あるいはIsp投与時のMHRの増加度は非妊娠ラットにくらべて大きかった。自律神経作動薬の母親への投与後, FHRは一過性の減少を示し, 特にIsp投与時の減少は大きく, その度合は妊娠経過の長いものほど大きかった。胎仔への直接投与では, IspによりFHRは軽度の増加を, AChにより減少を示し, いずれの反応も分娩が近いものほど大きかった。
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