日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
48 巻, 1 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
  • 山本 孝史, 輿水 馨, 尾形 学
    1986 年 48 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    わが国において, 1970~1981年の間に豚流行性肺炎病巣部から分離されたMycoplasma hyopneumoniae 54株および新基準株Jの各種抗生物質に対する感受性につき検討を加え, 以下の成績を得た。1)最も高い活性を示したのはチアムリンであり, 供試した55株の全てに対し, 0:02~0.04μg/mlの最小発育阻止濃度(MIC)を示した。2)タイロシン, ジョサマイシン, スピラマイシン, キタサマイシンのマクロライド系薬剤もこの順に高い活性を示したが(0.02~1.25μg/ml), エリンロマイシンのMICは2.5~20μg/mlであった。3)リンコマイシンはタイロシンとジョサマイシンの中間的なMIC (0.04~0.16μg/ml)を示したが, アミノグリコシッド系薬剤のネオマイシン, カナマイシンは比較的高いMICを示した(0.16~10μg/ml)。4)テトラサイクリン系薬剤のうちクロールテトラサイクリン(CTC)のMICは, 2.5~40μg/mlに分布していたが, テトラサイクリン, オキシテトラサイクリン, ドキシサイクリンのそれは, 0.04~2.5μg/mlであった。5)1970年度分離株では大部分の株がCTCに対し5μg/ml以下で, また他のテトラサイクリン系薬剤に対しては0.16μg/ml以下で感受性を示したが, 1979~1981年度の分離株では, これらの濃度で感受性を示したのは半数以下であった。6)CTCのMIC値と他のテトラサイクリン系薬剤のそれとの間には相関が認められた。
  • 柳澤 利彦, 中永 和枝, 久和 茂, 藤原 公策
    1986 年 48 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    BALB/c, C3H/He, DDD, ICRを背景とするヌードマウスについて, MHV-NuU感染による腹水症の発現について検討した。腹水症はICR-ヌードマウスのみでみられ, 発病は週齢に依存し, 8-13週齢で高率であった。ICR-ヌードマウスでは大網でのウイルス価お上びIgG, IgM抗体価ともにBALB/c-, DDD-ヌードマウスとくらべて高かった。腹水症例では接種後2週から腹水貯溜が観察されたが, 肝実質病変は他系統ヌードマウスにくらべてむしろ軽度であった。
  • 代田 欣二, 小山 令子, 野村 靖夫
    1986 年 48 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    約6力月齢の豚100例の腎臓について, 光学顕微鏡的病変および免疫蛍光法によるIgG, C3沈着を検索し, 96例に瀰漫性あるいは巣状の糸球体病変を認めた。共通に認められた病変は, 細胞増殖・基質の増加および硝子様物質の沈着による広汎性ないしは分節性のメサンギウムの拡大であった。100例中26例には, メサンギウム内に硝子滴を持つ細胞が認められた。IgG沈着は97例に認められ, 塊状あるいは顆粒状に, 主としてメサンギウム領域に見られた。1例ではさらに糸球体毛細血管に沿って高度な沈着があった。特異蛍光は, 瀰漫性広汎性, 瀰慢性分節性あるいは巣状分節性に分布していた。C3は98例で陽性で, 沈着部位と分布はIgGのそれと同様であった。これらの観察から, 豚において糸球体病変が高率に認められることが示された。
  • 永幡 肇, 野田 寛, 安倍 建彦
    1986 年 48 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシリンパ球幼若化能の測定をエチジウムブロマイドを用いた蛍光定量法により検討した。培養条件は, 至適マイトージェン濃度-コンカナバリンA (Con A); 5μg/ml, フィトヘマグルチニンP (PHA); 1μl/ml, ポークウィードマイトージェン(PWM); 10μg/mlであり, リンパ球数5×105/wellを用い72時間の培養が最適であった。培養リンパ球の[3H]-チミジンの取り込みと, 本法による蛍光強度との間には高い正の相関(r=0.967, p<0.01, n=50) が認められた。再現性においてもR1法は10.3%(CV)であったが, 蛍光法では3.4%であった。正常泌乳牛に比較し分娩後(平均1.6週以内)の末梢リンパ球の幼若化能は有意に低下していた。
  • 村上 昇, 高橋 清久, 黒田 治門, 江藤 禎一
    1986 年 48 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    偽妊娠ラットにおいて, 制限給餌のプロラクチンサージおよびコルチコステロンリズムに及ぼす効果を検討した。成熟雌ラットを, 14L:10D (グループ1: 5時点灯19時消灯, グループ2: 19時点灯7時消灯)の条件下で飼育し, それぞれのグループに自由給餌群と, 毎日9-11時のみ2時間の制限給餌群を設け, 23日後の発情前期に子宮頸部刺激で偽妊娠を誘起した。自由給餌群では, ノクターナルサージおよびダイアーナルサージは, グループ1ではそれぞれ3時および18時に, グループ2では15時および6時に認められ, プロラクチンサージがそれぞれの光条件に同調していることがわかった。一方, 制限給餌群では, 両グループともにノクターナルサージは影響を受けなかったが, ダイアーナルサージは消失した。血中コルチコステロンリズムは両グループともに, 制限給餌直前にピークを示した。以上の結果から, 偽妊娠ラットのプロラクチンサージでノクターナルサージとダイアーナルサージの成立には別の機構が存在する可能性が示唆された。
  • 藤原 之寿, 尾内 宗次, 小泉 俊二, 佐藤 仲三, 沢田 拓士
    1986 年 48 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    数種の水禽類を混飼する群馬県下の某動物園で飼育されていたベニハシガモ41羽のうち28羽(68%)が1963年の3月と5月に急性経過で死亡した。死亡鳥の主要臓器からPasteurella multocidaが純粋に分離され, その血清型はCarterの莢膜型A, Heddleston の3型, 波岡の8:A型と同定された。病理解剖においては, 肉眼的に心臓, 肺, 肝臓, 脾臓, 皮下脂肪組織, 坐骨及び頸部の迷走神経に多発性の点状出血が認められた。組織学的には, 肝臓と脾臓で多数の壊死巣と菌塊が認められ, 心臓, 肺及び神経組織では血栓と菌の増殖像が認められた。以上の所見から, 本感染症は典型的な家禽コレラと診断され, わが国で, 水禽類における本病の発生が確認された。
  • 谷村 信彦, 立山 晉, 野坂 大, 森友 靖生, 山口 良二
    1986 年 48 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    56例(41頭)の馬の上皮小体をHE染色, 抗ヒト・カルシトニン抗体による免疫ペルオキシダーゼ染色及び電子顕微鏡で観察した。C細胞は, 免疫染色陽性分泌顆粒を満たし, 42例の馬上皮小体に見出された。実質細胞は陰性であった。上皮小体C細胞の形態と抗カルシトニン抗体感受性は, 馬甲状腺C細胞のそれとほぼ同じであった。HE染色では上皮小体C細胞は主細胞や水様透明細胞よりもエオジン好性であった。電顕像では, C細胞はいわゆるoxyphil cellとは明らかに異なり, 種々の大きさの分泌顆粒多数を含み, 実質細胞とともに基底膜によって間質からは隔離され, ハーフデスモゾームで基底膜に接着し, デスモゾームで隣接細胞と接着していた。oxyphil cellとC細胞間の移行型は認められなかった。免疫染色陽性のC細胞は, 甲状腺に埋没した上皮小体において, 遊離上皮小体におけるよりも出現頻度が高かった。馬の品種, 年齢及び性別によるC細胞出現頻度の差異は明瞭でなかった。
  • 中西 章男, 相見 和宏, 江島 博康, 黒川 和雄
    1986 年 48 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    グルコース消費試験を用い, イヌ末梢血リンパ球の phytohemagglutinin (PHA)に対する幼若化能を測定し, その応用性について検討した。本法の至適培養条件は以下に示すとおりであった: 1)培地はDM-160 (2mM L-glutamine, 25mM HEPES加)をpH 7.0に調整, 凍結保存, 溶媒は伝導度0.5με/cm以下のイオン交換水, 2)血清は不活化プール正常イヌ血清, 3)mitogen はPHA-P 20μg/ml (最終濃度), 4)細胞濃度は2×106/ml。5)培養時間はプレートを密閉, 38℃, 96時間。至適条件下での, 正常犬34頭における末梢血リンパ球のSR値は73.8±20.0%であった。ー方, マイトマイシンC処理リンパ球のSR値は9.7士6.0%で, 未処理リンパ球の68.4±24.2%に対して幼若化は有意に抑制された。また, 6頭の肺葉切除例におけるSR値は, 術前値49.7±29.9%, 術後値16.3±15.0%で有意の抑制があり, 術後リンパ球幼若化反応の低下が確認された。このように, 本法により in vitro および in vivo における幼若化能の低下を充分に検出でき, また, ethidium bromide 蛍光法による核酸合成能を指標とした方法とも高い相関(r=0.79)を示したことから, イヌリンパ球幼若化試験の新しい測定法としての有用性が確認された。
  • 増山 いづみ, 菅野 茂, 澤崎 坦
    1986 年 48 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Wistar系妊娠雌ラット33匹について, 母親, 胎仔および胎盤の重量, 母親の心拍数(MHR), 血圧(MBP), および胎仔の心拍数(FHR)を観察した。そのうちの22匹については, 自律神経作動薬(ノルエピネフリン: NE, イソプロテレノール: Isp, アセチルコリン: ACh)を母親および胎仔の静脈内または腹腔内に投与し, MHR, MBPおよびFHRの変化を調べた。母親と胎仔の体重は妊娠の進行にともない, 指数関数的増加を示したが, 胎盤重量は直線的増加を示した。MHRとFHRは徐々に増加したが, MBPはしだいに減少した。自律神経作動薬を投与したときの母親の各数値の変化は, 非妊娠ラットと質的に同じであった。NEを投与したときのMBP, あるいはIsp投与時のMHRの増加度は非妊娠ラットにくらべて大きかった。自律神経作動薬の母親への投与後, FHRは一過性の減少を示し, 特にIsp投与時の減少は大きく, その度合は妊娠経過の長いものほど大きかった。胎仔への直接投与では, IspによりFHRは軽度の増加を, AChにより減少を示し, いずれの反応も分娩が近いものほど大きかった。
  • 斉藤 康秀, 板垣 博, 角田 清
    1986 年 48 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    宮崎県で採取した鶏コクシジウム E. necatrix に対する抗コクシジウム剤の効果を13薬剤を用いて検討した。13薬剤のうち, キノリン誘導体の3剤およびロベニジンを除いた9剤には感受性の低下がみられ, それらの常用量では無効であった。キノリン誘導体のデイコキネイトおよびロベニジンについては, 投薬量を減じてさらに検討した。結果, 両剤の最少有効量はそれぞれ4および4.125ppM (飼料添加)であった。このような E. necatrix 株をデイコキネイトおよびロベニジンのサブオプテイマル・ドースを投与した鶏で継代し, 継代にともなう感受性の変化をそれぞれ観察した。その結果, 本 E. necatrix 株は, デイコキネイトで50回およびロベニジンで10回継代することによってそれぞれの薬剤の継代開始時の最少有効量に対して感受性を低下させた。しかしながら, デイコキネイトで50回およびロベニジンで40回継代した後でもそれぞれの薬剤の常用量に対しては, 依然として強い感受性を保持していた。
  • 村井 敏美, 山内 昭二
    1986 年 48 巻 1 号 p. 75-88
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛の妊娠76日には絨毛膜絨毛基部と小丘中隔との間に微小な〓血点が現われ, 満期に向かって数と大きさが増加し, 150日以後血腫hematomaとなった。弓状帯arcade zoneに対面する中隔組織の上皮層は大量の脂質小滴を含み, 退行性変化の徴候を示したが, これらの変性産物は組織栄養素として栄養膜上皮に吸収されるものと思われた。また, 血腫に対面する栄養膜は妊娠の進行とともに〓血血球の貧食作用を示した。弓状帯に並ぶ栄養膜細胞は高円柱形で, 強力な食作用に好適な発達した小器官と微絨毛をもっていた。酸性フォスファターゼ活性は弓状帯の栄養膜細胞にのみ検出された。赤血球のとり込みと消化の過程は, これまでに報告されている他の胎盤型, ならびに羊のそれとほとんど同様であった。栄養膜の基底部に特によく発達した細胞間隙は消化した物質の輸送路として重要な運河であるようにみえた。赤血球貧食中の栄養膜はしばしば間葉中に反転, 後退し, その上皮細胞は大量の血液原性の色素を細胞基底に保有した。このような栄養膜の出現は, 赤血球の細胞内消化がかなりの時間を要する作業であることを示唆した。
  • 岡田 信彦, 鳥海 亘, 坂本 賢治, 藤原 公策
    1986 年 48 巻 1 号 p. 89-98
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Tyzzer菌MSK株をマウス静脈内に接種し, 肝病変の推移と菌増殖過程について免疫酵素抗体法による光顕および電顕的観察を行った。特異抗原は接種後2日に小壊死巣周囲の肝細胞内に見出された。壊死巣の拡大, 増加とともに病巣周囲肝細胞に多量の菌抗原が認められ, 壊死巣から離れた健常部においても, 菌抗原を充満した肝細胞が見出されたが, 周囲に炎症反応はみられなかった。大壊死巣では菌抗原は病巣周囲にのみ認められた。電顕的には, 肝細胞内菌の細胞表面および周毛性鞭毛に特異抗体が結合し, 菌体周囲に限界膜は認められなかった。菌増殖とともに, 肝細胞基質の破壊, 小胞体の空胞化, ミトコンドリアの変性が観察され, 類洞内では好中球およびKupffer細胞による菌抗原の貧食像がみられた。
  • 北川 均, 佐々木 栄英, 石原 勝也
    1986 年 48 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫性血色素尿症では, 超音波断層検査で三尖弁口部位に糸状虫エコーが確認される。このエコーは外科的糸状虫摘出によって消失し, 死亡例を除いて臨床症状も改善された。血漿ヘモグロビン濃度は糸状虫摘出30分後には低下しはじめ, その後も経時的に下降し, 摘出20時間後にはほぼ正常値に回復した。ミルベマイシンDの投薬後に犬糸虫性血色素尿症を発症した5例では, 三尖弁口部位に糸状虫エコーが確認され, また, 血漿ヘモグロビン濃度も上昇した。以上の所見から, 三尖弁口を経て右心房から右心室にかけて寄生する糸状虫塊が本症の直接的発症原因であり, また, 血管内溶血は, この糸状虫塊が原因となることが示唆された。
  • 高橋 美幸
    1986 年 48 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    5羽のホワイトレグホン(オス, 8ヶ月齢)にスルファジメトキシン(SDM)の3用量(10, 30および90mg/kg)を静脈内投与後, 血中動態と総排泄腔からの排池物について検討した。30および90mg/kgの投与例で血中SDMは明らかな非線形動態を示した。投薬後初期の血中濃度消失曲線は用量の増加とともに緩やかとなった。各用量の血中濃度時間曲線下面積を用量で補正した値は用量依存的に増加した。主な排泄物はSDM, N4-アセチル体および, β-グルクロダーゼあるいは塩酸により加水分解されない未知の代謝産物であった。未知の代謝産物の排泄速度時間曲線は30および90mg/kg投与例で, 排泄速度が限定され一定となった状態が認められた。このことから, ニワトリにおけるSDMの非線形動態の原因は, 主に未知の代謝産物の消失過程の飽和によると考えられた。
  • 石川 潤, 白幡 敏一
    1986 年 48 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシリンパ球の幼若化反応の測定にグルコース消費試験を応用するため, 基礎的条件の検討を行った。培養条件の検討の結果, 細胞数5×106/ml, マイトジエン濃度, PHA 15μg/ml, Con A 25μg/ml, LPS 10μg/ml, PWM 5μl, 培養時間96時間が至適条件と考えられた。この条件下で, 成牛9頭の末梢血リンパ球の幼若化反応を測定した結果, 本法は操作が簡易で, 特殊な器具, 試薬を必要とせず再現性もよいことなどから, ウシの免疫機能検査法の一つとして臨床応用も可能と考えられた。
  • 甲野 雄次, 新井 啓五, 泉対 博, 松川 俊一, 糸原 重美
    1986 年 48 巻 1 号 p. 117-125
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    羊を用いて牛白血病ウイルス (BLV) の感染防御実験を実施した。Triton X-100により不活化した100倍濃縮BLV培養液をフロインド完全アジュバントとともに8頭の羊に2週間隔で3回筋肉内接種した。最終免疫から2週後, すなわちgp抗体価が1:32~1:256に達した時に, 4頭の免疫羊に50μlのBLV感染羊血液を皮内接種したが感染は成立しなかった。この4頭を含めた8頭の免疫羊の抗体価が1:1~1:8に低下した時, 同一方法で再び攻撃接種を行った。その結果, すべての羊は抗体価の著明な上昇を示し, 同時にBLVも分離された。BLV感染羊の血清から分離した種々の量の免疫グロブリンを, 健康羊に腹腔内接種した後攻撃接種を行った結果, 1:64の抗体価を持った個体では感染防御が成立した。実験に用いたすべての羊につき感染防御の成立と液性抗体価の関係を調べた結果, 1:64以上の抗体価を持つすべての羊および1:32の抗体価を持つ羊の半数で感染防御が成立したが, 1:16以下の抗体価を持つ個体では1頭が感染防御を示したにすぎなかった。
  • 平野 雅俗, 三森 国敏, 真板 敬三, 白須 泰彦
    1986 年 48 巻 1 号 p. 127-135
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    塩化メチル水銀(MMC)のICR系雄マウスに対する腎腫瘍誘発性を確認するため, MMCを0, 0.4, 2, 10ppmの濃度で飼料に混入し, 雌雄のICR系マウス(各群各性60匹)に104週間投与した。10ppm群の雄で, 投与58週以後腎腫瘍(ほとんどが腺癌)が誘発された。58週以上生存した有効動物に対する担腎腫瘍動物の頻度は, 10ppm (0.906mgMMC/kg/日)群で50%(13/26例)であった。雄の他の群および雌では腎腫瘍は誘発されなかった。
  • 許 敏道, 広瀬 昶, 菅野 茂, 澤崎 坦
    1986 年 48 巻 1 号 p. 137-144
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    麻酔下で雄ラットの体温を30°~20℃の間に下降させると, 心電図QT間隔の延長に伴ってT波の2峰化が観察されたが, 体温が30℃以上あるいは20℃以下になると対照波形に回復した。2峰性T波の成因に自律神経の活動状態が関連しているかどうかを調べる目的で, 自律神経作用薬を用いて検討した結果, プロプラノロール(4mg/kg)の腹腔内あるいは静脈内投与, また上頸部脊髄腔内へのプロカイン溶液(2%, 0.2ml)注入によって2峰性T波の正常化がみられたが, レセルピン(5mg/kg, i.P.)前処置によっては, 体温を下降させてもT波の2峰化は認められず, QTの延長も非処置ラットに比べ軽度であった。一方, 正常T波を示す正常体温およびレセルピン前処置ラットに対してイソプロテレノール(3μg/kg) を静脈内に投与すると, T波の2峰性化が認められた。以上の成績から, 低体温において出現するラットの2峰性T波の成因として, とくにβ受容体を介する交感神経系の緊張度が深く関与していると推測された。
  • 岩田 祐之, 安田 和雄, 小野 憲一郎, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1986 年 48 巻 1 号 p. 145-148
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1例の肝疾患雄猫雑種5歳齢において乳酸脱水素酵素(LDH)異常が観察された。血清LDHアイソエンザイムパターンでは, LDH2分画比の上昇ならびにLDH3とLDH4, LDH4とLDH5の間に2つの異常な易動度を示す分画が認められた。酵素免疫電気泳動によりIgG 分画の一部にLDH活性が観察され, 本例のLDH異常はLDHアイソザイムとIgGとの結合に起因すると考えられた。
  • 中山 裕之, 小野 憲一郎, 高橋 令治, 藤原 公策
    1986 年 48 巻 1 号 p. 149-153
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    高血糖・糖尿を呈したイヌ10例中9例に, 膵壊死, 慢性膵炎または島の萎縮・減数, 島細胞の空砲化などをみとめ, 全例の腎糸球体に結節性あるいはび^^・漫性硬化, 毛細血管痛, 滲出病変, 荒廃がみられた。
  • 柴谷 増博, 板倉 智敏, 伊藤 郁夫, 梅村 孝司, 御領 政信
    1986 年 48 巻 1 号 p. 155-158
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    淡路島産のホルスタイン雌牛にコクシジオイデス症を認めた。病変は縦隔膜リンパ節に限局し, すでに詳しく記載されている牛の本症特有の像であった。
  • 蛭間 正己, 池 和憲, 久米 常夫
    1986 年 48 巻 1 号 p. 159-162
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Aeromonas菌に感染した幼若フエレット5例を病理学的に観察した。全身諸臓器における壊死が特徴的で, 特に肝において顕著であった。類洞内集族菌とともに肝細胞の類壊死巣及び巣状壊死巣が多数みられ, クッパー細胞の著しい活性化はみられたが, 炎性細胞浸潤はほとんど認められなかった。
  • 更科 孝夫, 谷山 弘行
    1986 年 48 巻 1 号 p. 163-167
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1976年に遭遇した豚の紅色毛様線虫症の1例を寄生虫学的および病理学的に検索した。胃底腺部にはH. rubidusの寄生とともに充血, 粘膜上皮の増殖, 細胞浸潤と肉芽腫が, また幽門腺部にはH. rubidusの寄生と粘膜上皮の増殖が見られたが, 潰瘍形成や出血は認められなかった。
  • 菱田 尚樹, 小田切 美晴, 小谷 猛夫, 堀内 貞治
    1986 年 48 巻 1 号 p. 169-172
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏脳脊髄炎パルス感染ひ^^・な^^・の脳・脊髄を形態学的に検索した。高度の脚麻卑を呈する例には, 小脳の変性 Purkinje細胞細胞質内に, 直接蛍光抗体法により顆粒状抗原を観察し, 電子顕微鏡的観察で同部位に直径25nmの球状ウイルス粒子の結晶状配列を認めた。
  • 佐藤 繁, 大島 寛一, 岡田 幸助
    1986 年 48 巻 1 号 p. 173-175
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    症例はホルスタイン種, 雌, 妊娠8力月の流産胎仔で, 腹腔内に数個の巨大, ないし小型の新生物が認められた。新生物は未熟な線維芽細胞と線維細胞および膠原線維の著明な増殖からなり, 移行部を含む種々の大きさの軟骨化巣が認められた。
  • 相内 聖峰, 小林 賢一, 黒崎 映子, 佐久間 貞重
    1986 年 48 巻 1 号 p. 177-181
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    74週齢の雄 Sprague-Dawley ラット1例の胸部脊髄に星状膠細胞腫が観察された。組織学的には, 密に増生した腫瘍細胞は明瞭な神経膠線維を随伴した多面形を示し, ヘマトキシリンに濃染する卵円形核と比較的乏しい細胞質を有していた。神経膠線維酸性蛋白(GFAP)に対する免疫組織化学法ではいくつかの腫瘍細胞が陽性を示した。電顕的には, 腫瘍細胞は細胞質内の種々の小胞と乏しい微細線維により特徴づけられた。
  • 福島 博
    1986 年 48 巻 1 号 p. 183-187
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚肉中におけるYersinia enterocolitica serotype 03菌は冷蔵(6℃)および室温(25℃)において増殖しないか減少するのに反して, 環境由来のYersinia属菌や aerobic microbial flora はよく発育することが観察され, 前者は他の環境由来菌と競合できないであろうと考えられた。
  • 中山 裕之, 井上 智, 二井 愛介, 安田 彰典, 岡田 信彦, 藤原 公策
    1986 年 48 巻 1 号 p. 189-192
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Tyzzer菌MSK株を静脈内に接種後マウスの肝病変を2~9週にわたってしらべた。生き残った一部のマウスの肝に, ムコ多糖類・石灰を貧食した多核巨細胞からなる肉芽腫がみられたが, 酵素抗体法で菌抗原は観察されなかった。免疫蛍光法による血清抗体は2週で全例陽性を示し, 抗体価は9週まで1:100~1:3,200であった。
  • 平野 紀夫, 鈴木 義久, 小野 勝彦, 村上 敏明, 藤原 公策
    1986 年 48 巻 1 号 p. 193-195
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラット唾液腺涙腺炎ウイルスの分離株4株は著明な細胞変性効果を示しLBC細胞で増殖した。感染細胞細胞質内にはウイルス抗原が検出され, 従来の細胞系にくらべ, LBC細胞では高いウイルス産生が得られた。
feedback
Top