抄録
ICRおよびB6C3F1マウスを104週間飼育し, その期間に死亡および生残したマウスの体重, 生存率および病理学的変化を両系統の間で比較した。B6C3F1雌雄マウスの平均体重曲線は65から70週の間で交差し, その後雌の平均体重は雄のそれを上回った。ICRマウスにはこのような所見はなかった。104週齢時に, B6C3F1はICRマウスより高い生存率を示した。肝腫瘍の発生率は, ICR雌雄よりB6C3F1雌雄のほうが高かった。肺腫瘍はB6C3F1雄よりICR雄に頻発したが, 悪性リンパ腫はICR雌よりB6C3F1雌に高頻度に発生した。腎孟拡張および脳の無機質沈着の発生率はB6C3F1雄よりICR雄のほうが高かった。これに対し, 肝細胞変化巣, 尿細管内結石, 副腎皮質の紡錘形細胞増生お上び膵島過形成はB6C3F1雄マウスに頻発した。雌マウスにおいて, 全身性アミロイド症, 腎における蛋白円柱, 嚢胞形成, 腎孟拡張および尿細管上皮黄色々素沈着ならびに卵巣の嚢胞形成はB6C3F1マウスよりICRマウスに多発した。他方, 脾のリンパ濾胞過形成, 副腎皮質の紡錘形細胞増生, 腹腔脂肪の巣状壊死および子宮内膜の嚢胞状過形成はB6C3F1雌マウスにしばしば出現した。