抄録
ネコリンパ球をconcanavalin A (Con A)とともに培養した上清中にマウスのIL-2依存性T細胞株(CTLL-2)を増殖させる活性が検出され, ネコIL-2活性をCTLL細胞の増殖反応によって測定できることが明らかになった。ネコIL-2活性は, ゲル〓過法により分子量約16000ダルトンに相当する分画に存在することが判明し, ネコIL-2の分子量もヒト及びラットIL-2のそれに類似することが示された。本ネコIL-2分画を用いて, そのいくつかの物理化学的性状について検索した結果, ネコIL-2はトリプシン処理によって失活し, 酸(pH 3.2), アルカリ(pH10.5), 熱(70℃)及び尿素(2, 4, 8M)処理に対してもヒトやマウスIL-2に比較して感受性が高いことが確認された。Con Aで刺激したリンパ球培養上清中のIL-2活性は6~12時間後に最高値を示し, 添加するCon A濃度は, 10~100μg/mlで最大のIL-2活性が得られた。次いでネコリンパ球培養におけるIL-2の添加効果について検討した。その結果, ネコIL-2のみを添加した場合にはネコリンパ球の増殖はおころなかったが, Con Aの存在下においてネコIL-2を添加した時には増殖が促進された。またIL-2をCon Aで刺激していないリンパ球で処理してもIL-2活性の有意な減少は認められなかったが, Con Aで刺激したリンパ球で処理した場合には著明な減少が認められた。このことから, ネコリンパ球をCon Aで刺激するとIL-2レセプターが発現するものと考えられた。