日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ネコ白血病ウィルス感染ネコにおけるインターロイキン2産性の低下
後飯塚 僚廣田 好和長谷川 篤彦友田 勇
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1987 年 49 巻 1 号 p. 7-14

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抄録
末梢血塗抹標本で間接螢光抗体法によりネコ白血病ウィルス (FeLV) 群特異抗原が検出された12例のネコについて, 末梢血リンパ球のインターロイキン2 (IL-2) 産生能を検索した。これらのネコではいずれも, FeLV産性腫瘍細胞株 (FT-1) に対する血清抗体価は低値であり, また末梢血リンパ球のconcanavalin A (Con A) およびpokeweed mitogenに対する幼若化反応も, 健康ネコリンパ球のそれに比して低く, 特にCon A刺激の場合は, 著明に低かった。FeLV感染ネコ末梢血リンパ球をCon Aで刺激し, その培養上清中のIL-2活性をマウスIL-2依存性T細胞株 (CTLL-2) のトリチウムチミジンの取りこみによって測定すると, FeLV感染ネコのIL-2活性は, 健康ネコのそれに比較して低く, 特に白血病あるいは胸腺型リンパ肉腫症例では著しく低かった。これらの事実から, FeLV感染ネコにおける免疫抑制にはIL-2産生能の低下が関与していると考えられた。
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