抄録
3株のサケ科魚類由来ヘルペスウイルス (H-83株, Oncorhynchus masou virus (OMV)のOO-7812株およびHerpesvirus salmonis)のDNA切断パターンを, ウイルス感染細胞から抽出したDNAの制限酵素を用いて解析した。切断パターンは精製ウイルスのそれと完全に一致し, 明瞭なウイルスDNA切断パターンを得るために心要なウイルス感染細胞数は約1.1×105個であった。また, in vitroにおけるウイルス継代がDNA切断パターンにおよぼす影響を調べたところ, H-83株 (33代断代) およびOMV (36代継代) にあっては切断々片のいくつかが消失あるいは新たに出現したが, H. salmonis (36代継代) のそれは変化しなかった。継代開始時にヤマメ稚魚に対して強い病原性を保持したH-83株およびOMVは, 継代により明らかに減弱の傾向を示した。