日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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犬糸状虫症における血清ハプトグロビン濃度
北川 均佐々木 栄英松井 昭秀石原 勝也内山 智晴
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1987 年 49 巻 2 号 p. 261-266

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抄録
犬糸状虫症犬と健康犬の血清ハプトグロビン (Hp) 濃度をヘモグロビン結合能として測定した。健康犬13例の血清Hp濃度は114.8±31.5 (S. D.) mg/dlであった。犬糸状虫症軽症群33例では0から349.5mg/dlの広範囲に分布し, その平均値は75.1±151.4mg/dlであった。この群の血清Hp濃度は呼吸器症状を示した例で高く, また, 尿または腎臓のヘモジデリン陽性例では低値であった。慢性重症群17例では, その平均値は33.7±59.8mg/dlであった。この群では2例のみがやや高い血清Hp濃度を示したが, 8例 (47.1%) は消失ないし痕跡程度 (0mg/dl) の濃度であった。血色素尿症群21例では, 9.9から135.0mg/dlの範囲にあり, その平均値は48.2±29.5mg/dlで, 慢性重症群より高値であった。また, 血色素尿症群では, 全例で血漿ヘモグロビン濃度が血清Hp濃度より高値であった。以上の所見から, 血色素尿症のみならず軽症および慢性重症の犬糸状虫症でも血管内溶血が潜在していることが示唆された。
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