抄録
犬糸状虫感染予防に用いるivermectinの有効投与量と投与計画を決定するため, 感染後1, 30, 60日の幼虫に対するivermectin3, 6μg/kg投与の抗幼虫効果を検討した。3μg/kgでは, 感染後1日の投与で全例が感染し, 平均感染率21.9%であった。30日後の投与では1/6頭に雄虫1匹が検出され平均感染率は0.1%であり, 60日後投与では3/6頭に虫が検出され, 平均感染率は4.0%であった。この成績から, 3μg/kgの投与では感染後1, 30, 60日の幼虫に対して殺虫効果が不確実であり, 1, 2カ月間隔での予防投薬には不適であることがわかった。6μg/kgを感染後1日に投与すると, 5/6頭に少数の虫が検出され, 平均感染率5.7%であった。しかし, 30, 60日後投与の両群には虫は検出されなかった。この成績から, 6μg/kg1回経口投与は感染後1日の幼虫に対して効果が不確実であるが, この投与量を感染開始後1カ月から終了後1カ月の期間, 1カ月間隔で月に1回投与すれば, 随時自然感染する幼虫は完全に殺滅され, 確実な予防効果が得られると推定された。