抄録
牛と豚を同時に肥育している1農家の牛2頭及び酪農家の乳牛1頭が, 著しい流延を示し, 2頭には, 掻痒症が認められ発症後各々約2, 7, 10時間で死亡した。脳 (3/3), 扁桃 (2/2), 掻痒部皮膚 (1/2) から豚腎株化細胞の円型化を示すウイルスが分離され中和試験及び蛍光抗体法によりsuid herpesvirus 1と同定された。全例に共通して非化膿性脳炎と神経細胞における核内封入体が観察された。これらの所見から, わが国で最初の牛のオーエスキー病と診断され, 血清学的に当該地域の豚群の間でウイルスの伝播があったことが明らかとなった。