日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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豚,鶏および牛から分離されたStaphylococcus hyicus subsp. hyicusのプロテインAについて
竹内 正太郎小林 良則両角 徹雄森 康行
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1988 年 50 巻 1 号 p. 153-157

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抄録
豚,鶏および牛から分離されたStaphylococcus hyicus subsp. hyicusのプロテインAを定性的および定量的に調べた.スライド感作血球凝集反応によって病豚由来47株中42株(89.4%)および健康豚由来132株中105株(79.5%)に菌体結合性プロテインAが証明されたが,鶏および牛由来株では認められなかった. これらの豚由来株からのリゾスタフィンによって遊離した菌体結合性プロテインAとヒトIgGとの間に寒天ゲル内沈降反応で形成された1本の沈降線は,Staphylococcus aureus Cowan I株のプロテインAとヒトIgGの間に形成された沈降線と融合した. プロテインAをマイクプレート感作血球凝集反応で定量的に測定したところ,対照S. aureusの力価(1 :5,120)に対して,ほとんどの豚由来株は低い力価(1 :32~1 :256)を示した. また,プロテインAは豚由来株培養上清にも証明され,菌体外プロテインAではなく,細胞壁の菌体結合性プロテインAが溶菌に伴って培地中に遊離したものであると思われた.
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