日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ニワトリの上部消化管および気道付属リンパ組織に関する免疫組織化学的研究
荒井 延明橋本 善春北川 浩昆 泰寛工藤 規雄
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1988 年 50 巻 1 号 p. 183-192

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抄録
ニワトリの上部消化管および気道に付属するリンパ組織の分布について組織学的に検索し,粘膜固有層中に出現するIg含有細胞(cIg: cIgG, cIgA, cIgM)およびT細胞の分布とそれらの孵化後の分化過程とについて免疫組織化学ならびに計量組織学的に検討した. 成鶏では,発達したリンパ組織が上部消化管においては食道扁桃として,また気道においては膜性気管支部のリンパ小節群として常時観察され,cIgの総数は食道肩桃部において最も多いことが明らかにされた. cIgGは上部消化管と気道を通じてcIgAおよびcIgMよりも高頻度に出現し,食道扁桃部と膜性気管支部においては少数のcIgGが孵化後5日齢で最初に検出され,cIgG数の増加は孵化後2週齢まで顕著であり,同時に盛んな胚中心の形成が観察された. また,これらの部位には孵卵20日齢より多数のT細胞が検出された. 上部消化管および気道その他の部位におけるcIgとT細胞は加齢とともに漸増した. これらの結果から上部消化管では食道扁桃が,気道では膜性気管支部のリンパ小節群が下部消化管におけるパイエル板や盲腸扁桃に相当するリンパ組織として局所免疫機構の中で重要な役割を果たす部位であると推察された.
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