日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
神戸市の河水,魚類,エビから分離されたnon-01コレラ菌のCT様エンテロトキシン産生
村瀬 稔仲西 寿男坂崎 利一
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 50 巻 2 号 p. 363-370

詳細
抄録
1980年11月から1981年10月の間に,神戸市内の1河川にもうけた4定点からnon-01 V.choleraeの検出を毎月1回試みた. 52件の河川水のうち,17件(33%)からnon-01 V.choleraeを分離したが,上流地点から最も高頻度に分離され,また水温と検出頻度の間に関係がみられた. また,1980年7月から1982年6月の間に,近海で捕獲された魚類,国内産エビ類,カキ,魚貝類販売店舗のフキトリおよび輸入エビ類におけるnon-01 V.choleraeの汚染状況をしらべたところ,魚類486件,国内産エビ190件および輸入エビ8件のうち,それぞれ50(10.3%), 32(16.8%)および8件(100%)からnon-01 V.choleraeが分離された. カキ59件および環境フキトリ13件からは全く検出できなかった. Non-01 V.choleraeの検出率は1980年の7月から9月の夏期に特に高かったが,1981年の同じ期間では低かった. 魚類およびエビ類におけるnon-01 V.cholerae汚染菌量(MPN値)は59%が102/100g以下であったが,7件(17.9%)は104/100gを越えていた. 汚染菌量は魚類よりエビ類で高かったが,とくに輸入エビ類で顕著であった. これらの分離菌株のうちコレラ毒素に似たエンエロトキシン産生の頻度は魚類:11.8%,国内産エビ類:17.2%および河川水:11.8%であった.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top