抄録
牛白血病腫瘍リンパ節細胞から精製したガングリオシドGD3をニワトリに免疫することにより得た抗体が,牛白血病腫瘍細胞の検出に有用であるか否かを検討した. 得られた抗体は,TLC-immunostainingでN-グリコリルノイラミン酸を持つガングリオシドGD3と反応した. 補体依存性細胞傷害試験により,非白血病牛と白血病牛の末梢血リンパ球およびウシ胎仔組織に対する抗ガングリオシドGD3抗体の反応性を調べた結果,抗ガングリオシドGD3抗体は,白血病牛の末梢血リンパ球,ウシ胎仔胸腺細胞およびウシ胎仔肝細胞と反応したが,正常牛および牛白血病ウイルス感染牛からの末梢血リンパ球とは反応しなかった. また,間接蛍光抗体法により,抗ガングリオシドGD3抗体は牛白血病腫瘍細胞と反応することを確認した. これらのことから,抗ガングリオシドGD3抗体は,牛白血病の特異診断に用いることができるものと思われた.