気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
気管支内腔病変が顕著であった全身型 Wegener 肉芽腫症の 1 例
仲谷 善彰塩田 智美堀 賢坂本 匡一岩瀬 彰彦青木 茂行松岡 緑郎石塚 鉄男下田 雄丈高井 禎成加藤 哲夫清水 誠一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 20 巻 5 号 p. 419-424

詳細
抄録

症例は63歳の男性。平成9年2月頃から鼻閉感, 膿血性鼻漏が出現し, 当院耳鼻科を紹介受診した。抗生物質治療を受けたが軽快せず, やがて湿性咳嗽, 微熱, 両側耳痛, 難聴等が出現し, 4月入院となった。汎副鼻腔充満像, 気管支潰瘍, 顕微鏡学的血尿が認められ, 鼻粘膜病理組織像, C-ANCA価高値より全身型Wegener肉芽腫症と診断した。prednisoloneとcyclophosphamide標準治療によりC-ANCA価は著減し, 鼻腔内粘膜病変は比較的速やかに軽快したが, 顕微鏡学的血尿および気管支粘膜病変は遷延したためにmethylprednisoloneのpulse療法を施行した。C-ANCA価は確定診断に有用であった。しかし, 本症例の気管支粘膜病変は遷延化し, C-ANCAは気道病変の活動性を反映せず, 治療効果の指標とはならなかった。一方, 気管支鏡検査はその活動性の把握, 治療効果の判定に極めて有用な検査であった。

著者関連情報
© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top