抄録
ブルーデキストラン-Sepharose 4Bアフィニティカラムに結合したシトソール型アデニレートキナーゼ(AK1)は,低濃度のNADHにより高収率で溶出されたが,NAD+によっては溶出されなかった. AK1-NADH複合体の差スペクトルは269nmおよび273nmに正の極大を,326nm付近に負の極大を示し,また,AK1-NAD+複合体のそれも,275nmに正の極大を示した. NADHおよびNAD+は,AMPおよびATPの両基質に関して,AK1を競争阻害した. これらの結果から,NADのアデニンおよびニコチンアミド部分は,AK1のATP結合部位およびAMP結合部位にそれぞれ結合すると想像された.