1988 年 50 巻 3 号 p. 638-647
胸腺細胞および末梢T細胞と特異的に反応する抗ニワトリ胸腺細胞ウサギ血清(ATS)を用いて, ニワトリの諸臓器におけるglobule leucocyte (GL)の分布を免疫組織学的に検索した. GLは腸管の上皮および固有層, 肝臓のDisse腔, 腎尿細管, 尿管上皮, ファブリキウス嚢の濾胞間上皮および頚部に存在する大型のリンパ球浸潤を覆う上皮中に分布し, それらのGLはATS弱陽性あるいは陰性であった. GLのATSに対する反応性は同部位に存在するATS陽性のリンパ球のそれに比べて低かった. 腸陰窩上皮内のGL顆粒は械毛上皮内のそれに比べて明らかに大型であった. 脾臓では極めて微細な果粒を有するGLがまれにみとめられたが, 胸腺, 骨髄, 膵臓, 膵管, 胆管および腸管附属リンパ小節には見出されなかった。上記のニワトリ特有のGLの分布および抗胸腺細胞血清に対する反応は, natural killer細胞のそれらに類似していた。